Tuesday, January 5, 2021

関口存男のドイツ語

 今まで権田保之助著有朋堂発行「基準独文和訳法」をこのブログに載せてきたが、どうも訳文が生硬すぎて気に入らない。さいわい去年、関口存男の参考書をネット上に見つけて、かなりじっくり読むことが出来た。やや饒舌すぎるが勘所を押さえていて初学者にも上級者にも有益なヒントを含んでいる参考書、あるいは研究書だと思った。しかも訳文も明解だ。だから関口の本を電子化したいと思っては来たのだが、初級文法から順々に打ち込んでいくのはちょっとかったるい。どうしたものかと思い悩んでいたのだが、ふと読み物の部分だけを各種の参考書から集めてきてまとめるのがいいんじゃないかと気がついた。関口の注釈は微に入り細を穿つ詳しさで、よくわかる。中級、上級文法も簡潔に説明されているので、一応ドイツ語の初級をマスターし、これからドイツ語の本を読むぞと考えている人にはうってつけの参考書になるにちがいない。

内容が古いのは仕方がない。綴りも古いままである。しかし初級文法をマスターしたくらいの人なら、今世紀に入ってから使われ出した新しい表記法など、見たらすぐわかるし、十九世紀や二十世紀の著作を読むなら関口の解説は有用きわまりないと思う。

というわけで今年は気分を新しくして関口の参考書をこのブログで紹介する。英語の Collection of English Idioms はそのまま継続。


エドワード・アタイヤ「残酷な火」

  エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...