Monday, January 18, 2021

アメリカにおけるパブリックドメイン

日本の著作権法では作者の死後五十年でその作品はパブリックドメイン入りする。しかしアメリカでは発行年が問題となる。2021年になると同時に1925年に発行された本がパブリックドメイン入りした。来年は1926年に発行された本がパブリックドメイン入りすることになる。だから同じ作者の本でも、発行年によってパブリックドメイン入りするものと、しないものがあるわけだ。日本やカナダとはまったく違うシステムになっている。

さて1925年に出版された本にはどんなものがあるのか。有名なものでは

フィッツジェラルド「グレイト・ギャツビー」

ウルフ「ダロウエイ夫人」

ヘミングウエイ「われらが時代に」

ドライサー「アメリカの悲劇」

ドス・パソス「マンハッタン・トランスファー」

ルイス「アロウスミス」

ハクスレイ「不毛なページ」

モーム「彩られたヴェール」

などがある。言うまでもないが、アメリカにおいては世界中のすべての本に関してアメリカの著作権法が適用される。だから日本においてはいまだ著作権の保護対象である作品も、アメリカではパブリックドメインというケースが生じる。日本もまったく同様で、死後五十年経てば、日本国内においては世界のどこの作家もパブリックドメイン入りする。

以前このブログに書いたが、日本やカナダにおいて本年は大物作家が多数パブリックドメイン入りする、ずいぶんと景気のいい年となった。アメリカにおいても同様だろう。アメリカはミッキーマウス法のおかげで二十年間パブリックドメインが閉ざされた状態だったからなおさらうれしいラインアップである。

じつは先程調べて驚いたのだが、上に挙げた作品のうちハクスレイの「不毛なページ」が翻訳されていないようだ。詳しく調べないとわからないが、おそらく未訳である。今は人気がないのかも知れないが、ハクスレイみたいな重要な作家の作品が訳されないまま終わっているというのはどういうことだ? また「グレイト・ギャツビー」は一月十七日にプロジェクト・グーテンバーグによって電子化され一般公開された。

ウルリッヒ・ボシュヴィッツ「旅する男」

  作者は1915年生まれのユダヤ系ドイツ人作家。この事実を聞いただけで苦難の人生を送っただろうと予測されるが、実際そのとおりだった。1935年には法律家の叔父がナチス批判をして殺害され、同年ボシュヴィッツは徴兵の命令を受ける。ボシュヴィッツと母親はノルウエーへ逃亡、さらにスエー...