Sunday, January 31, 2021

関口存男「趣味のドイツ語」

Das Leben ist ein Sport

Der pessimist1 sagt: Das Leben ist ein Traum. Der Optimist sagt: Das Leben ist ein Speil2. Der Realist sagt: Das Leben ist ein Kampf3. Der Idealist sagt: Das Leben ist eine Schule4.

Ich bin kein Pessimist, sondern Optimist, Realist und Idealist zugleich5. Für6 mich ist das7 Leben ein Sport.

Was ist Sport? Sport ist ein Spiel. Sport ist ein Kampf. Sport ist eine Schule.

Hat das Leben einen Sinn, einen Zweck? Ja und nein8. Warum? Weil es ein Sport ist. Der Sport hat keinen Zweck; er ist ein Selbstzweck9. Der Sport hat keinen Sinn, er macht Spaß10.

Auch das Leben ist ein Selbstzweck: Man11 lebt nur, um zu12 leben. Weiter13 hat es keinen Sinn. Es ist ein Unsinn14, wenn man will15, aber ein Unsinn, der16 furchtbar17 Spaß macht. Es ist nur ein Spiel, wenn man will, aber dieses18 Spiel ist gerade19 so20 spannend21 und ernst wie22 der Sport!

逐語訳:Der Pessimist 悲観論者は sagt 云う:Das Leben ist ein Traum: 人生は夢であると。Der Optimist sagt: 楽観論者は云う:Das Leben ist ein Spiel 人生は遊戯であると。Der Realist sagt: 現実主義者は云う:Das Leben ist Kampf: 人生は闘いであると。Der Idealist sagt 理想家はいう:Das Leben ist eine Schule 人生は道場なりと。
 Ich bin kein Pessimist わたしは悲観論者ではなく sondern て zugleich 同時に Optimist, Realist und Idealist 楽観論者と現実主義者と理想家と[である]。Für mich 私にとっては das Leben 人生は ein Sport 一つのスポーツ ist である。
 Was ist Sport? スポーツとは何か? Sport ist ein Spiel スポーツは遊びである。Sport ist ein Kampf スポーツは闘いである。Sport ist eine Schule スポーツは道場である。
 das Leben 人生は einen Sinn 一つの意味を、einen Zweck 一つの目的を Hat? 持っているか? Ja und nein 然り、而して否! Warum? 何故か? Weil いかんとなれば es (=Leben) それは ein Sport 一つのスポーツ ist である[からだ]。Der Sport hat keinen Zweck スポーツは目的を持たない。er ist ein Selbstzweck かれは自己目的である。Der Sport hat keinen Sinn スポーツは意味を持たない er macht nur Spaß それはただ娯楽をなすのみ。
 Auch das Leben 人生もまた ist ein Selbstzweck 一つの自己目的である。Man 人は nur ただ um zu leben 生きるために lebt 生きている[きりのはなしである]。Weiter それ以上 es それは keinen Sinn 何の意味も hat 持たぬ。Es (=Leben) それは wenn man will もし人が欲するなら(=なんなら) ist ein Unsinn 一つの無意味である。aber 然しながら furchtbar おそろしく(=非常に) Spaß macht 娯みをなす der ところの ein Spiel ただ遊戯である[にすぎない] aber けれども dieses Spiel 此の遊戯は der Sport スポーツ wie と gerade ちょうど so 同様に spannend 緊張した und そして ernst 真剣(深刻)な[もの] ist であるのだ。

:【1】Pessimist (悲観家):発音のアクセントは最後の -ist のところにあります。何々主義者、何々「家」を意味する此の -ist という語尾は必ずそうです、次に出てくる Optimist, Realist 等すべて同じ。
【2】Spiel, n: 動詞は spielen (遊ぶ)、英の play
【3】Kampf, m: 動詞は kämpfen (闘う)
【4】Schule, f: 「学校」ですが、一般に「道場」即ち修行するところ、力を鍛える所を Schule といいます。
【5】zugleich (同時に):此の語は、列挙される語のうしろに置くことが多いので、こんな変な位置にきています。たとえば Ich bin alt und jung zugleich. (僕は年寄であって同時に若い)こういう時には英語は both を用い、ドイツ語の zugleich とは逆に前に置きます:I am both old and young.
【6】für mich: für は『……にとっては』(英:for)という前置詞。für mich は、僕にとっては、即ち「僕の見る所を以てすれば」です。
【7】ist: 此の ist の位置に注意。正順は Das Leben ist ein Sport für mich ですが、für mich を先に出すと、主語と動詞とが逆になります。これは一般にそうです。ドイツ語では、主語以外の語句が先頭に置かれると、その次には動詞をおくのです。
【8】Ja und nein: 然りでもあり否でもある、という時に用いる句です。
【9】Selbstzweck, m (自己目的):哲学用語で、「自己目的」というのは、「それ自身の目的がそれ自身にあるもの」ということです。すなわち、スポーツならば、スポーツは別に健康のためにやるのでもない、名誉のためにやるのでもない、営利が目的でもない、要するに「スポーツの目的はスポーツそのものにある」(即ち単におもしろいからやる)ということができるでしょう、これを自己目的と云います。万引などもそうで、お金持の婦人が単に万引きするのが面白ろくて万引きするのがある、あれは万引きを自己目的としてやっているのです。人生もそれで、別に生きてどうと云うことは何もない、人生の目的は人生そのものにある、即ち自己目的です。
【10】macht nur Spaß: 此の Spaß machen (娯しみをなす)というのは「面白い」「興味がある」という熟語です。Spaß, m は「冗談」「洒落」あるいは「娯楽」です。
【11】man: 「人は」、「世人は」あるいは「吾人は」と訳しても好い場合があります、茲がその好例。
【12】um zu: これは英の in order to にあたり、「……せんがために」という意の形式です。次に不定形を置きます。um zu handeln (行動せんがために)、um zu gehen (行かんがために)、um zu sehen (見んがために)など。
【13】weiter: 「それ以上にわたっては」、「それ以外には」という副詞。(次の hat es という逆順に注意。正順ならば Es hat weiter keinen Sinn.)
【14】Unsinn: Un- というのは「非」、「無」、「不」等の意の前綴です。Unsinn はいわゆるナンセンス、即ち英の nonsense です。「意味を成さないこと」、「馬鹿々々しいこと」、「無意味なこと」等。つまり「本気に取ると飛んだバカを見ること」を Unsinn というのです。たとえば「一日に二度あって一年に一度しかないものは何?」という謎があります。本気に考えると、そんな論理に会わないことはないとしか考えられない。それはあんまり糞真面目に考えるからで、答は、「それはチという仮名だ」というナンセンスなのです。人生も然り。人生も一つのナンセンスなので、機智を以て之を解決するを要す。
【15】wenn man will (もし人が欲するならば):というのは、「もし人がそう云う風に言うことを欲するならば」という意味の常用句で、つまり「なんならそう云ってもよかろう」という時に用います。
【16】der: これは冠詞の der ではなくて、関係代名詞です(逐語訳を研究すること)。英の which または that。関係代名詞があると、その次に来る文は、動詞が一番最後に来ます(macht)。
【17】furchtbar (おそろしく):これは「非常に」という語。
【18】dieses Spiel: Spiel は中性ですから dies- に -es という語尾がつきます。
【19】gerade: ちょうど(英:just
【20】so: この so は als と対立して so......wie...... が英の as......as...... にあたります。『云々と同じ程云々である』『云々と同程度に云々である』
【21】spannend: 緊張した、張り切った、片唾をのませるような、息もつまるほどの、手に汗をにぎるような。
【22】wie: 此の説明は註19にある通り。wie の代りに als とも云います。

意訳:悲観家は曰く:人生は夢だ。楽天家は曰く:人生は遊戯だ。現実主義者は曰く:人生は闘争だ。理想主義者は曰く:人生は道場だ。
 私は悲観論者ではない。楽天主義者であり現実主義者であり同時に理想主義者である。私の意見を以てするならば、人生は一つのスポーツなのである。
 スポーツとは何ぞや? スポーツとは即ち一場の遊戯である。スポーツとは即ち一場の闘争である。スポーツとは即ち一つの道場なのである。
 人生には何か意義のようなものがあるか? 目的のようなものがあるか? あるようでもあり、無いようでもある。それは何故か? それは即ち人生は一種のスポーツだからである。スポーツに目的はない、スポーツはそれ自身が目的である。スポーツに意味はない、それはただ面白いというきりなのである。
 人生も亦、それ自身が目的である。吾人はただ生きんがために生きているにすぎない。それ以上別に何の意味もないのだ。なんならナンセンスと云ってもよかろう。ただし、すこぶる面白いナンセンスなのである。なんなら一場の戯れにすぎぬと云ってもよかろう。しかしその戯れたるや、その迫力、その真剣味は実にスポーツのそれに彷彿たるものがあるのだ!

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