Monday, February 8, 2021

ドイツのパブリックドメイン

ドイツの著作権は著者の死後七十年で切れる。今年の場合、1950年に亡くなった作家の著作はみな著作権切れとなる。その中でもっとも大物と言えばハインリッヒ・マンだろう。云わずと知れたトマス・マンの兄である。弟ほど有名ではないが、映画ファンなら「嘆きの天使」の原作が彼の「ウンラート教授」であることを知っているかもしれない。

もう一人有名なのはアルマ・カーリン。スロベニア人のジャーナリストであり、作家であり、詩人であり、かつ神智学者だ。彼女は単独で世界一周をした二人目の女性である。

三人目は、わたしは読んだことがないが、エルンスト・ヴィーヒェルトという人。ヒューマニズム豊かな作品を書いた、三十年代の人気作家だという。

しかしわたしが注目したのはアルノ・アレクサンダーという作家。彼は犯罪小説を書いているようで、先月一月にプロジェクト・グーテンベルグ(ドイツ)から三冊の本が出された。そのうちの一冊の表紙はこんな感じ。

 


パルプっぽくていいではないですか。わたしは Wang Ho というタイトルの小説を読んでみようかと思っている。出だしが気に入ったのだ。

Der Fernsprecher klingelte. Einmal, und noch einmal. Und dann immer wieder - lange und unaufhörlich.

Mit einem Satz sprang Inspektor Muratow aus dem Bett. Was mochte das bedeuten? Dieser Anruf mitten in der Nacht? Das konnte doch nur die Polizei sein! Nur dort war seine zweite Rufnummer bekannt. Den anderen Apparat hatte Muratow, wie er sich genau entsinnen konnte, wie immer am Abend vor dem Schlafengehen, abgestellt.

引用でもわかるように、短文を重ねるタイプの文章で読みやすい。最初の章をちらっと読んでみた。真夜中にムラトフという刑事が電話にたたき起こされる。受話器を取ると匿名の男が、ムラトフの親友の刑事の家に来いと言う。胸騒ぎのしたムラトフが外に出ると、なんと都合よくタクシーが待っていて、ムラトフが行き先を告げると、「知っていますぜ」と返事をしたので彼は仰天する。親友の家に着いて中に入ると、なんと親友は死んでいた。さらにそこには彼と同じように電話を受けたという殺人捜査課の刑事たちが次々とあらわれる。彼らも電話を受け、家を出るとタクシーが外で待っていて、それに乗ってきたという。どうやら殺人犯が犯行後に電話やらタクシーの手配をしたらしい。いったいなぜそんなことをしたのか? ミステリファンの心をがっちりつかむ出だしで、しかもパルプらしいチープさもある。楽しみな作品・作家だ。

独逸語大講座(20)

Als die Sonne aufging, wachten die drei Schläfer auf. Sofort sahen sie, wie 1 schön die Gestalt war. Jeder von ihnen verliebte sich in 2 d...