ビジネスも政治も警察もすべてギャング組織に牛耳られた町を正常に戻すべく、一人の男が立ち上がる。冒頭から倉庫が焼け、ギャング団との抗争のなか、次々と人が死んでいく。もちろん最後には善玉が勝つのだが、ヒーローは多くの仲間や父親すらも失うことになる。
この手の物語の代表格はもちろんハメットの「赤い収穫」だ。この名作と比較すると「腐敗の町」はかなり劣る。どちらもパルプ小説だが、ハメットのほうが暴力に対してより深い洞察を見せている。またマッコイにはある種のセンチメンタリズムがある。彼の代表作 They shoot horses, don't they? のタイトルを見ただけでもそれはわかるだろう。このセンチメンタリズムがわたしには耐えられないのである。