これまた精神分析家マイケル・グレイが活躍するミステリ。
エディという十七歳の少年が人殺しと窃盗の罪で起訴される。警察の報告によると、彼はある晩アン・エイヴェリという三十七歳の女性に電話で呼び出され、彼女の家を訪ねた。ところが家に誰もいないのでエディは盗みを思い立ったのだという。ところが部屋を荒らしている最中にアンが帰宅し、エディは彼女を殺して逃亡、その後警察に捕まったという話である。
しかしエディはアン・エイヴェリからの呼び出しに応じて彼女の家に行くと、すでに彼女は死んでいたのだという。
精神分析家のマイケルは、この少年を裁くに当たって、少年として対処すべきか、大人として対処すべきか、警察から意見を求められ、そこからこの事件と関わりを持つようになる。彼は少年の態度に納得の行かない何かを感じ、それをあきらかにするために親友のツッカー警部に頼み、事件関係者とつぎつぎ面会していく。
この作品は「エレノア・ポウプ殺し」よりも出来がいい。途中で事件の真相を見抜いてしまう読者は多いと思うが、それでもマイケルが感じる小さな違和感がしだいに明らかにされていく経緯はスリリングだ。カットナーの力が発揮された好作。