Wednesday, August 17, 2022
ロバート・F・キャロル「稲妻」
これは一幕もののホラー劇である。映画や小説ならともかく、演劇でホラーを表現するのはちょっと珍しい。もちろん「ドラキュラ」のように十九世紀末からその手の演劇はあるのだが、数は少ない。それで気になって読んでみたのである。英語の題名は Heat Lightning。
夜中に怯えた若い女がバス・ステーションに駆け込んでくる。稲妻が光る嵐の夜だ。バス・ステーションは薄暗い明かりがついているだけで、そこでバスを待つ乗客も男が一人だけだった。彼は慌てている女を見て、どうしたのかと声をかける。気が動転している女は、乗っていた車が故障し、歩いてバス・ステーションに来たのだという。その途中、一台の車から男が女の死体を引きずり出すところを見たらしい。彼女はさっそく走って逃げたのだが、男が後ろから追いかけてくるような気がしてすっかり震え上がっているのだ。
男は警察を呼ぶほうがいいと忠告するが、女はその男がどんな人相なのかもわからなかったと言う。そんな話をしているところへ、二人目の男がステーションにあらわれる。なんとなくずうずうしい感じの男で、若い女はとっさに自分を追ってきたあの殺人者ではないかと思う。バスが来るまで彼らの緊迫した会話がつづく。二人目の男はほんとうに殺人者なのだろうか。それとも……?
非常に単純な作りの劇だが、最後にどんでん返しが待ち受ける、面白い作品である。小劇場にはうってつけ。舞台効果も工夫のしがいがありそうだ。
関口存男「新ドイツ語大講座 下」(16)
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