Saturday, September 24, 2022

ヒラリー・マンテル追悼

わたしは朝起きると必ずガーディアン紙を読むのだが、先日はウエッブページを開くなり Hilary Mantel remembered などという文字が目に飛び込み、いったい何を云っているんだと思った。マンテルは写真でしか見たことがないが、いつも若々しく元気そうで作品自体がエネルギッシュなものだから、まさか亡くなるとはまったく思っていなかったのだ。新聞に掲載されている写真もつい最近のものばかりで、どれを見ても溌剌の気にあふれていて老いが迫っているような感じはない。享年七十歳、死因は脳卒中。記事を読むと彼女はずっと健康状態が悪かったということだが……。

エリザベス女王が死去したときは、年も年だからと、あらかじめ心構えができていたけれど、マンテルの死はまさに不意打ちでショックが大きい。とにかく今は冥福を祈る。

エドワード・アタイヤ「残酷な火」

  エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...