最近電子化された書籍のなかから注目作を三つ紹介する。
1. The Blood of the Vampire by
Florence Marryat (LibriVox)
19世紀のヴァンパイア小説というとブラム・ストーカーとかシェリダン・ル・ファニュがすぐ思い浮かぶが、この作品も重要である。若い外国育ちの女性と付き合った人々が次々と憔悴して死んでいくという物語なのだが、わたしが注目するのはこの物語に登場する資本家の女性が彼女と付き合ってもなかなか死なない点だ。マルクスは資本家をヴァンパイアに譬えたことがあるが、まるでこの資本家の女は労働者から血を吸って余力があるからなかなか死なないみたいなのである。ヴァンパイア小説にあらたな側面をつけ加えているのかもしれない一作だ。
2. The Big Four by Agatha Christie
(Project Gutenberg)
これは説明する必要がないだろう。「スタイルズ荘の謎」がパブリックドメイン入りしてからずいぶんたくさんのクリスティティー作品がプロジェクト・グーテンバークから公開されている。
3. The Girl who Had to Die by
Elisabeth Sanxay Holding (Fadepage.com)
ホールディングの力作の一つがついに電子化された。心理的なサスペンスが好きな人なら見逃せない一作である。わたしは強烈なインパクト受け、以来ホールディングの作品を集めまくっている。
3月8日は国際婦人デーらしいが、はからずも今回の紹介は女性作家ばかりとなった。