Sunday, April 23, 2023

キャロル・ジョン・デーリー「KKKの夜」

パルプ作家というと粗製濫造という言葉を思い出すが、それでもあの物語の熱気は人を魅了するものがある。そういう作家の代表格がキャロル・ジョン・デーリーだ。ブラック・マスク誌で断トツの人気を誇ったのが彼で、その書き方に影響された作家も多い。もっとも時代が進んでパルプ小説も洗練されてくると、デーリーの幼稚な書き方は読者に見放されていってしまったけれども。


彼はレイス・ウィリアムという私立探偵を生みだしたことで知られている。私立探偵と言ってもレイス自身の言葉によると「警察と悪党の中間」みたいな存在らしい。それなら普通の人間、一般人じゃないかと思うかもしれないが、どうやら警察でもあり悪党でもあるような、どっちともつかない存在という意味のようだ。

「KKKの夜」(原題は Knights of the Open Palm)はそのレイス・ウィリアムが登場する最初の短編小説であり、かつまた最初のハードボイルド作品と言われている。KKKの活動に怯えるとある田舎町から助けを求める声がレイス・ウィリアムのもとに届いた。ウィリー・トンプソンという男から、息子がKKKにかどわかされた、救い出して欲しいというのだ。どうやら息子はKKKの犯罪の秘密を知って、そのために誘拐されたらしい。レイスはさっそくその田舎町へ行くのだが、着いて早々にKKKが挨拶にやって来る。妙な真似はするなと脅しに来たのだが、逆にレイスのど迫力に尻尾を巻いて出ていくことになる。次の日の夜、KKKが新しいメンバーを受け容れる儀式を開くと聞いて、レイスは単身その会場に乗り込んでいく。あとは読んでのお楽しみとしておこう。

レイスが語り手となって物語は進んでいくのだが、「警官と悪党の中間」というだけあって、文法はちょっとおかしいし、語り方もまるきり芸がない。歯の浮くような誇大な言い回しにあふれていて、鼻白むところもあるのだが、そんなことは気にせずアドレナリンを大放出させていく物語の熱さにはやはり感心する。1923年に書かれたからちょうど百年前の作品である。

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