Sunday, July 30, 2023

エリザベス・サンクセイ・ホールディング「鳥影」

ホールディングの作品はかなり読んでいるが「鳥影」のようなSFじみた作品も書いているとは思わなかった。

アメリカに異変が起きる。鳥が昆虫を食べなくなったのである。また鳥たちは大群をなしてどこかへ飛んで行くようになった。鳥が大群をなすときは同一種の鳥がかたまるものだが、この異変においては雑多な鳥がまじっている。彼らがどこへ向かうのかはわからない。

鳥が昆虫を食べないものだから農作物に影響が出始める。家畜の飼料にも被害が出、林業も危機的状況に陥る。食品は値上がりし、紙の価格が高騰するというわけだ。

さて、スタンという一介の市民がこの異変の原因を突き止めようとする。彼は大群をなす鳥にむかって発砲し、数羽を傷つけ、ほとんど飛べなくなった鳥のあとをつけて、彼らの目的地をさぐる。なんとそれは川のほとりにぽっかりとあいた穴蔵だった。そこには虫がうじゃうじゃうごめいていて、鳥たちはそれを食べに穴蔵に入って行く。

そのときだ。スタンは三人の小人がパラシュートをつけて空から舞い降りてくるのを見る。そしてそのうちの一人がテレパシーのような力でスタンにこんな情報を与えるのだ。「われわれの惑星は人口が増えすぎ、新たな惑星を必要としている。ついては地球から人間を追い払い、われわれのものとしようと思う。今回の異変は地球乗っ取り計画の一部である」

スタンは命からがら異星人の手をのがれ、警察に保護されるのだが、彼が経験したことを警察や政府関係者に話しても信じてもらえない。証拠がなにもないからである。彼は異星人の一人を射殺して、その死体を車に乗せていたのだが、それも消えてしまっていた。

彼は家に帰り、ラジオを聞いた。すると鳥類の専門家が鳥の大群の行き先を発見し、そこにある穴をつぎつぎと破壊したところ、鳥は今までとおなじように虫を食べはじめ、アメリカが直面していた危機は回避されたようだとニュースで報じられていた。

宇宙人の侵略を知った主人公が周囲の人々に警告するが、周囲はそれを妄想扱いするという、SFではよくある設定だが、この作品はそれが用いられたごく初期の作品になるのではないだろうか。面白い短編だった。

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