Thursday, November 23, 2023

エリザベス・ホールディング「森を出て」

エリザベス・サンクセイ・ホールディングの短編小説である。副題に「世間を知らない女の子、腹を空かせた狼、そしてすてきなおばあちゃんの物語」とある。おそらく1920年代に書かれた作品だと思うが、当時のアメリカの風俗を、「赤ずきん」の物語を借りて表現したものとなっている。ただしここで狼を撃退するのは女の子ではなく、おばあちゃんである。

主人公はエセルという十九歳の乙女。彼女は歌手になりたいと思っている。しかし両親がなかなか彼女のやりたいことをやらせてくれず、不満を募らせていた。彼女は歌のレッスンを受けていたとき、メッツという男と知り合う。小さなボードヴィル劇場で歌っているバリトンの歌手だ。この男がエセルをそそのかし彼女と結婚しようと目論む。もちろん彼女を愛しているのではない。財産目当ての結婚である。エセルはメッツがなんとなく嫌いなのだが、自分のやりたいことをやらせてくれない家への反発もあって、ついつい育ての親である伯母に彼と結婚をするという電報を送ってしまう。そして窮地に陥った彼女をおばあちゃんが救いにくる、というのがこの短編の筋になる。

おばあちゃんが彼女を助けに来たとき、彼女は「エセル」と呼びかけるのだが、それを聞いてエセルはこの世にいないはずの母の声を聞いたように思い、思わず「お母さん!」と叫ぶ。そのあとはおばあさんが狼であるメッツを見事撃退し、この作品は次のような三行で終わる。


リサ・ランドール「歪んだ道筋」

  これはいわゆる膜宇宙論を説明した一般向けの解説書である。膜宇宙論とはなにか。どうやら人間が理解する三次元空間の宇宙は、じつは高次元の空間に浮かんでいる膜みたいなものだということらしい。このバルクと呼ばれる高次元の空間にはわれわれの住む膜以外にも、いろいろな膜が浮かんでいると考...