Monday, November 27, 2023

ウィリアム・ジョンストン「ビーチクラブ殺人事件」

ウィリアム・アンドリュー・ジョンストン(1871ー1929)はペンシルベニア生まれの作家であり、「ニューヨーク・サンデー・ワールド」誌の編集者だった。私は何十年も前に彼の「隣のアパート」(The Apartment Next Door)というヤングアダルト向けスパイ小説を読んでその面白さに感心したことがある。そのあと同じ作者の本を色々探したのだが、古い作家で死後は著作の再版もないらしく、残念に思いながら読むのをあきらめた。しかし最近ふとしたきっかけで彼の本を何冊か入手し、昔の恋人に出会ったような、いそいそした気分で読書にふけった。期待に違わない、なかなかの出来だった。

表題のビーチクラブというのは、アメリカのとある田舎町の社交場で、人々が集まってダンスをしたり、ポーカーをしたりするところだ。主人公ティルト青年は、幼なじみのモリーと土曜日の朝六時にここで早朝テニスをすることになるのだが、さきにクラブに着いたモリーが、彼女の親しい友だちでもある町医者の死体を発見するのである。医者の家の家政婦によれば、医者は電話で何者かによってクラブに呼び出され、クラブに出掛けたのだという。しかも医者とその何者かは口論しているようだったらしい。いったい犯人は誰なのか。ティルトの友人の探偵が呼ばれ、また、意外にもモリーの妹のキットが占い板で事件の真相にせまっていく。

一見して素朴平和な暮らしを送っている町の人々だが、ある事件をきっかけに複雑な人間関係があぶり出されるという、よくある筋立てなのだが、そのあぶり出し方がじつにスリリングだ。章の終わりには爆弾を落とすように新たな事実・謎が提示され、読んでいるほうはなかなか本を置くことができない。こういう書き方は一九十年代、二十年代にほぼ完成され、ジャンル小説の分野ではジャック・スティールとかアーサー・W・マーチモントとかが見事な語りの技術を見せているのだが、ジョンストンもそのなかに加えて好いだろう。

古い偏見がところどころに顔を出すのは気になるけれど、一九二十年代に書かれた作品なのだから致し方ない。それより最終章まで緊迫感を絶やすことなく物語を続けた作者の手腕をほめるべきだと思う。

独逸語大講座(20)

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