Sunday, September 21, 2025

今月の注目作

fadepage.comから

Darkness at Pemberley by T. H. White


先月 fadepage.com は大量のミステリを電子化して気を吐いた。そのなかの一冊が T. H. ホワイトの「ペンバーレイの暗闇」である。ホワイトはアーサー王伝説をもとにした「永遠の王」というファンタジーで有名だが、ミステリも書いている。本書の前半は密室もののミステリになっていて、後半は冒険ものという、二つのジャンルを一つにくっつけたような作品だ。

前半は興味深く読んだが、後半は犯人がスパイダーマンみたいに屋敷のなかを徘徊し、かなり調子が狂った。

standard ebooksから

Simon by J. Storer Clouston


ずいぶん前だが、一時期クロウストンの小説を読みあさったことがある。文学的な価値があるわけではない。ただ読みやすくて、そこそこ面白く、そして最後には軽く失望させられるからである。それなりの才能はあるようだから、一作ぐらいは偶然にいいものを書いているのじゃないか、と思い、それを捜して次々と作品を読んだ。そして一作だけ、今でも読むに耐える本があった。1899年に書かれた The Lunatic at Large (野放しの狂人)である。ピカレスク小説としてマイナーな傑作だと思う。

Simon 「サイモン」は間違いなく読んだと思う。タイトルをなんとなく記憶しているから。しかし内容はきれいさっぱり忘れた。本に添付された粗筋によると、スコットランドの検察官サイモンは土地管理人の仕事もしていたのだが、彼が管理していた土地の所有者が奇妙な状況下で殺害されてしまった。地元警察ではとても事件解決はおぼつかず、片眼鏡のキャリントンという探偵が雇われることになる……というような話らしい。

クロウストンの英語はわかりやすいし、どの作品も途中まではたしかに面白いので、暇つぶしに読むにはうってつけだと思う。

fadepage.comから

Ex-Wife by Ursula Parrott


このブログで去年レビューした作品。コピーライターとしてばりばり働くパトリシアはピーターと結婚し、いわゆる「モダン」で「実験的」な結婚生活を送っていたのだが、ピーターのほうがそれに耐えられなくなり出て行ってしまう。この本は「元妻 Ex-Wife」となったパトリシアの赤裸々な感情やふるまいを描く、ジャズ・エイジのベストセラー。1929年といえば昭和四年だが、あの頃にもうこれだけの小説が出ていたのかと彼我の差に驚く。今読んでも面白い。


LivriVoxから

The Quaker City by George Lippard


「クエーカー・シティ」は十九世紀の中期に出版された。この頃は急速に大都市化がすすむと同時に貧富の差が拡大し、都市特有の犯罪や腐敗も増えていったが、フィラデルフィアにおけるその様子をジャーナリスティックな目であばいて見せたのが本書。「パリの秘密」とか「ロンドンの謎」とかこの当時は大都市のありようを主題にした大作が各国で書かれたが、アメリカを代表するのが「クエーカー・シティ」だと言える。LivriVox の朗読は二十七時間を越える長大なものだが、朗読者のマーク・ネルソン氏の声は素人ながら聞きやすいほうなので、この奇書を読むお伴におあつらえ向きだろう。


Elementary German Series (10)

10. Die Tage der Woche 1 Die Tage der Woche heißen Montag, Dienstag, Mittwoch, Donnerstag, Freitag, Samstag (oder Sonnabend) und Sonntag. D...