Tuesday, September 23, 2025

チャールズ・ボーモント「侵入者」


アメリカ南部のとある町キャクストンでは、白人の学校に黒人を受け入れ、一緒に学ぶ人種統合政策が施行されようとしていた。地元の人々はなんとなく反発を感じつつも法律で決まったことだからと、それを受け入れていた。ところがここにアダム・クレイマーという謎の若者がワシントンの「組織」なるものから派遣されてキャクストンにやってくる。彼は町に着くなり、住民たちに電話で連絡を取り、またエラという高校生と親しくなって、黒人と一緒に学ぶことになる若者たちともコンタクトを取る。そして彼らのなかに眠っている人種差別的感情を煽り立て、人種統合政策を潰そうとかかるのだ。彼の煽動にのった町の住民たちは黒人にむかってすさまじい憎悪と暴力をむけはじめる。

1959年に出版されたが、まさに現代を描いているといっていい作品。とりわけ日本で排外主義を煽動するアダム・クレイマーのような男が登場したため、読んでいてその切迫感は半端じゃない。ボーモントの描く暴力シーンはリアリスチックで強烈。平然と読み流すことなどできなかった。また、明らかな暴力の登場にもかかわらず、警察やジャーナリズムがそれを問題にするまいとする態度にも注目するべきだろう。日本でも被害者の自殺や明白な脅迫、物理的暴力が存在するのに、警察やジャーナリズムの追求は弱い。そのことを考えるうえでも本書は一読の価値がある。そしてもう一つ。排外主義者が用いるレトリックがこの作品でも反復されている。本書ではアダム・クレイマーが何度か大勢の町民の前でヘイトを煽る演説を行う。しかし少なくとも言葉の上での主張によれば、排外主義者はたんなる外国人ヘイトではない。それはいわば洗練されたヘイトである。それにどう対抗するのかという問題を考える上でも本書は役に立つだろう。

なぜこれほどの作品が翻訳されていないのか。日本でも起きた外国人虐殺の記憶を呼び覚ますほど、内容があまりに政治的すぎるからか。それともたんに「トワイライト・ゾーン」の作家は賞味期限切れと思われているのだろうか。たしかにマイナーなジャンル小説を専門に出している Valancourt 出版社が本書をリプリントしているので、英語圏でもボーモントが忘れかけられている可能性はある。しかしもったいない。じつにもったいない。わたしが訳そうかな。

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