Monday, October 20, 2025

今月の注目作

 

LivriVox

Herland by Charlotte Perkins Gilman 1960-1935


ギルマンといえば「黄色い壁紙」という短編小説がすぐ頭に思い浮かぶ。結婚したばかりの女性が夫の専制的な支配のもと、しだいに狂っていくという、あの怖い物語である。Herland は翻訳も出ているが、1915年に書かれたユートピア小説で、無性生殖をおこなう、女だけの孤立した社会を描いている。それによって男に支配された社会を批判しているわけだ。


Project Gutenberg

The Enchanted April by Elizabeth Von Arnim


フォン・アーニムの「魅惑の四月」についてはこのブログで数回触れた。四人のイギリス人女性がイタリアの中世の城を借りてバカンスを過ごす。それは憂鬱なイギリスでの生活とはまったく異なる、夢あるいは魔法のような時間を彼らに与える。通俗的この上ないが、なぜかこの本には愛着がある。Standard Ebooks でも読めるし、LibriVox からはオーディオブックが出ている。


Project Gutenberg

Little Women; Or, Meg, Jo, Beth, and Amy by Louisa May Alcott


「若草物語」はもちろん前からプロジェクト・グーテンバークにあるのだが、初期はただのテキストだったものが、いまやイラストが見事に配置され、誤植も見当たらない、秀逸な電子書籍となっている。


Standard Ebooks

That Affair Next Door by Anna Katharine Green


グリーンといえば「リーヴェンワース事件」。まさに古典としての価値が定まった小説だが、しかしわたしは「となりの事件」のほうがはるかに出来がいいと思う。とくに最後にしかけられたヒネリがすばらしく、本書を印象深いものにしている。

気がついたら今月は女流作家ばかりを選んでしまった。

今月の注目作

  LivriVox Herland by Charlotte Perkins Gilman 1960-1935 ギルマンといえば「黄色い壁紙」という短編小説がすぐ頭に思い浮かぶ。結婚したばかりの女性が夫の専制的な支配のもと、しだいに狂っていくという、あの怖い物語である。Her...