Saturday, October 13, 2018

蔵書と知的能力

本の多い家庭に育った子供は、知的能力が高い。

これは昔からいろいろな研究が出ていて確認されている事実だ。五百冊の本がある家庭に育った子供と、なにもない家庭に育った子供では、知的レベルに雲泥の差が生じる。

ガーディアン紙に、その事実をふたたび裏付ける研究の報告が出ていた。ただし今回の研究では、「効果が生じるには最低八十冊の本があることが必要」と結論づけている。

三十一の国、十六万人の大人から収集したデータを、オーストラリア国立大学の研究者が分析して得られた結果である。十六歳のとき家庭に何冊本があったかと参加者に尋ね、その後、言語運用能力、数量的思考能力、情報通信技術能力に関する試験を課して、その能力を測定した。

ホーム・ライブラリの平均冊数は国によって違う。トルコでは二十七冊、イギリスでは百四十三冊、エストニアでは二百十八冊だ。しかしホーム・ライブラリの大きさが知能に与える影響力はどの国においても確認された。

(元の論文 Scholarly culture: How books in adolescence enhance adult literacy, numeracy and technology skills in 31 societies が読みたかったが、有料のためあきらめた。恐らく日本におけるホーム・ライブラリの冊数や、日本人の能力試験の結果が出ていたと思う)

本のない家庭でティーンを過ごした人々は、言語運用も数量的思考も平均以下だった。思春期に八十冊以上の本がある家に育った人々は、平均的な成績を残した。しかし三百五十冊を越えたホーム・ライブラリがあっても、それはとくに知的能力に反映されることはないようだ。つまり、八十冊から三百五十冊までは、冊数が増えれば増えるほど、知的能力があがる傾向が見られるが、三百五十冊を越えると、それ以上は知的能力にさしたる変化が見られないということだ。情報通信技術についても同じ傾向が見られるが、言語運用や数量的思考能力の場合ほど大きな差が出るわけではない。

中等教育しか受けていない人でも、本がたくさんある家に育った人々は、上記三つの能力において、本のない家庭に育った大学卒業者なみの力を見せた。もうちょっと詳しく言うと、本のない家庭に育った大学卒業者は言語運用能力試験で平均的な成績を残した。中等教育で教育課程を終えたが、本がたくさんある課程に育った人も平均的な成績だった。このことは数量的思考能力においても同じである。

この研究を主導した研究者は「生涯にわたって身に備わる認識能力を高めるためには、親の家で早期に本に親しむことが必須である」と言っている。

人間はシンボルを操作する動物だと言われる。シンボルの中でも言語はもっとも大切なもので、その能力を鍛えることが、知性の発達に大きな影響を与えることは間違いない。

家に本がたくさんあるにこしたことはない。しかしもしもないのであれば、子供に図書館に親しむことを教えてやるべきだろう。電子図書館を利用するという手もあるが……小さいうちは紙の本のほうが子供には受けがいいような気がする。

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