世間一般の「筋トレ」なるものは、「最短の時間で最大の効果を得る」という、きわめて資本主義的な効率思想に基づいている。
わたしははなからこれを否定する。筋トレは自分の体力や性格に合わせて自由にやればいいのである。どんなにチョビチョビとトレーニングをやっていても、持続的に筋肉に負荷をかけ、その後栄養の補給や休息をしっかり取るならば、筋肉は少しずつ成長する。
筋トレのやりはじめはとにかく無理に身体を動かさないこと。わたしは五分くらいしかやらなかった。しかも「関節が鳴ったらすぐビールを飲む」というルールをつくった。やりはじめの頃は身体が硬く、関節がよく鳴った。筋トレを開始して十秒もたたずして冷蔵庫を開けることもよくあった。
しかしそれでいいのである。いい加減なトレーニングでも継続していれば身体は新しい動きや負荷に順応し、しだいにさらなる負荷に耐えられるようになる。
最初の頃は英和中辞典などを持って腕のトレーニングをしていたが、それがいつの間にか大辞典に変わり、大辞典二冊を紐でくくりつけて持つようになり、十年たったら大辞典三冊を紐でまとめて持ち上げている。多分十キロくらいだ。片手で頭の上に持ち上げ、二百回は上げ下ろしができる。本当はもっと重くしたいのだけれど、持つところがなくて危険なのでこれ以上冊数を増やすことはしない。筋トレ器具を買わずにやるホーム・ワークアウトの限界である。
しかし逆に、のんびりとホーム・ワークアウトをしていても、長くやっていればこの程度まではいけるということを強調したい。なるほど片手で四十キロも五十キロも挙げる人からすればたいした成果ではない。しかし筋トレは競争ではない。自分の健康を維持することが最大の目標なのである。
Saturday, October 20, 2018
エドワード・アタイヤ「残酷な火」
エドワード・アタイヤ(1903-1964)はレバノンに生まれ、オクスフォード大学に学び、スコットランド人の女性と結婚した作家である。自伝や「アラブ人」という評論が有名だが、ミステリも何冊か書いている。ウィキペディアの書誌を見る限り「残酷な火」(61)は彼が書いた最後のミステリ...

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