少し以前、とあるフリーのジャーナリストがフランスへ行ってマクロン政権に異議を唱える人々(黄色いベスト)の記事を書いていた。そして金持ち優遇政策が日本の現政権のやり方とそっくりだという。
しかしこれは選挙の時からわかっていたことである。フランスがあのとき突きつけられたのは、極右のル・ペンを選ぶか富裕層寄りのマクロンを選ぶかという、ろくでもない選択だった。そしてファシズムを避けるためにもう一方のとんでもない選択肢を選ばざるをえなかったのである。
このような事態はアメリカでも起きた。前回の大統領選挙における真の対立は、トランプやクリントンの富裕層寄りの人々と、バーニー・サンダースという北欧的な社会民主主義をめざす勢力のあいだにあった。ところがサンダースは国民の選択肢とはならなかったのである。民主党自体が彼の行く手をはばんだ。その結果、トランプとクリントンという、どっちもろくでもない選択肢しか提示されなかったのだ。
問題は、選挙において国民に選択肢がないということだ。これは日本にも当てはまる。
リベラルは野党集結を叫ぶけれど、実際は野党といっても、みなこちこちの保守である。自民党の分派といってもいい。立憲民主でさえそうである。共産党もそんな野党に協力しているのだから、世話がない。野党が政権を取ったとしても、前回以上に保守的な政策を実施していくだけだろう。われわれには今、選択肢がないのである。
これこそがフランスと日本の類似点だ。
しかし日本のリベラルはいまだに野党を信じているらしい。野党が野党ではないことを見まいとしている。これではまったく駄目なのだ。このフリーのジャーナリストの記事が感傷的で薄っぺらなのも当然なのである。
Monday, February 11, 2019
関口存男「新ドイツ語大講座 下」(10)
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