少し以前、とあるフリーのジャーナリストがフランスへ行ってマクロン政権に異議を唱える人々(黄色いベスト)の記事を書いていた。そして金持ち優遇政策が日本の現政権のやり方とそっくりだという。
しかしこれは選挙の時からわかっていたことである。フランスがあのとき突きつけられたのは、極右のル・ペンを選ぶか富裕層寄りのマクロンを選ぶかという、ろくでもない選択だった。そしてファシズムを避けるためにもう一方のとんでもない選択肢を選ばざるをえなかったのである。
このような事態はアメリカでも起きた。前回の大統領選挙における真の対立は、トランプやクリントンの富裕層寄りの人々と、バーニー・サンダースという北欧的な社会民主主義をめざす勢力のあいだにあった。ところがサンダースは国民の選択肢とはならなかったのである。民主党自体が彼の行く手をはばんだ。その結果、トランプとクリントンという、どっちもろくでもない選択肢しか提示されなかったのだ。
問題は、選挙において国民に選択肢がないということだ。これは日本にも当てはまる。
リベラルは野党集結を叫ぶけれど、実際は野党といっても、みなこちこちの保守である。自民党の分派といってもいい。立憲民主でさえそうである。共産党もそんな野党に協力しているのだから、世話がない。野党が政権を取ったとしても、前回以上に保守的な政策を実施していくだけだろう。われわれには今、選択肢がないのである。
これこそがフランスと日本の類似点だ。
しかし日本のリベラルはいまだに野党を信じているらしい。野党が野党ではないことを見まいとしている。これではまったく駄目なのだ。このフリーのジャーナリストの記事が感傷的で薄っぺらなのも当然なのである。
Monday, February 11, 2019
関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)
§4. Solch ein kleines Kind weiß von gar nichts. そんな 小さな子供は何も知らない。 一般的に「さような」という際には solch- を用います(英語の such )が、その用法には二三の場合が区別されます。まず題文...
-
昨年アマゾンから出版したチャールズ・ペリー作「溺れゆく若い男の肖像」とロバート・レスリー・ベレム作「ブルーマーダー」の販売を停止します。理由は著作権保護期間に対するわたしの勘違いで、いずれの作品もまだ日本ではパブリックドメイン入りをしていませんでした。自分の迂闊さを反省し、読者の...
-
久しぶりにプロレスの話を書く。 四月二十八日に行われたチャンピオン・カーニバルで大谷選手がケガをした。肩の骨の骨折と聞いている。ビデオを見る限り、大谷選手がリングのエプロンからリング下の相手に一廻転して体当たりをくわせようとしたようである。そのときの落ち方が悪く、堅い床に肩をぶつ...
-
ジョン・ラッセル・ファーンが1957年に書いたミステリ。おそらくファーンが書いたミステリのなかでももっとも出来のよい一作ではないか。 テリーという映写技師が借金に困り、とうとう自分が勤める映画館の金庫から金を盗むことになる。もともとこの映画館には泥棒がよく入っていたので、偽装する...