Wednesday, April 10, 2019

ゼウスのドロップキック

四月九日に行われた全日本プロレス島根大会のビデオが、公式 YouTube チャンネルにあがっていたので見てみた。

四試合のダイジェストだが、最初にゼウスと宮原が戦い、ゼウスが勝った。ゼウスは最後まで体力が切れることなく闘いきり、身体の張りもすばらしい。調子があがっているのではないだろうか。

宮原は営業に於いても、リング上に於いても、その機動力がすごい。技のたたみかけはさすがである。彼は膝の攻撃を持っていて、この膝がすばやく動いてゼウスを針のように刺していた。あの鋭さ、早さ、たたみかけが宮原の真骨頂だ。

ゼウスは上体の力を誇示した技を多用するため、どうしても技と技とのあいだに時間がはさまる。そのかわり、一発一発の技のダメージは大きい。もっと膝を使った攻撃を身につければ、チャンスがつくれるのではないか、とわたしは思ってしまうけれど、しかしそれがゼウスのポリシー、あるいは個性というものだろうか。

しかし彼はひとつ、すごい足技を持っている。それがドロップキックだ。相手をロープに飛ばして、みずからは高く跳ね上がり、両足で帰ってきた相手を吹っ飛ばす。一試合に一回くらいしか出さないけれど、あれはなかなか見事だと思う。ゼウスの鍛え抜かれた全身が宙を舞うのだ。ほかの選手のドロップキックとはひと味ちがう感銘を与えてくれる。ボディビルダーというのは筋肉は盛りあがっているけれど、飛んだり跳ねたりという敏捷性に欠けるという印象がある。しかしゼウスのドロップキックはそんな既成概念を打ち破ってくれるのだ。ボディガーのあざやかなフロントキックと好一対をなす。

ほかの三試合も全部面白かった。とりわけレッドマンは楽しいレスラーで、好感を持った。この人の試合はもっと見たい。

英語読解のヒント(145)

145. 付帯状況の with 基本表現と解説 He was sitting, book in hand, at an open window. 「彼は本を手にして開いた窓際に座っていた」 book in hand は with a book in his hand の...