クロード・ホートンの問題作を訳してアマゾンから出版した。最近は校正やら epub ファイルを作るためのいろいろな作業で大忙しだった。頭がぼうっとしている。ちなみにわたしは epub ファイルを手打ちで作っている。
この作品はレクサムという男によって語られる。彼はつまらない事務の仕事を何年もつづけ、孤独な生活を送ってきた。ところがあるとき、スクリブナーという資産家の紳士が秘書を求めているのを知り、応募する。これが彼の奇妙な冒険のはじまりだった。
面接に行くとスクリブナーの弁護士から、さっそく仕事にとりかかってくれと言われる。給料もおそろしくいい。しかしなにより驚いたのはつぎの二つ。スクリブナーはとっくに外国に出かけていて家にいない。つまりレクサムの人となりを見ずに、彼を秘書に雇ったわけだ。さらにレクサムには留守中の彼の家に住み込み、まるでそこの主人のように使用人たちに指示を出してもらいたいというのだ。
なんとなく「赤毛連盟」を思い起こさせる出だしだ。スクリブナーは、条件のいい仕事でなにもしらない人間をおびき寄せ、犯罪に利用しているのではないか。レクサムはそう疑う。いったいスクリブナーはいかなる人物なのか。なにをもくろんでいるのか。
ホートンらしいミステリ・タッチの物語だ。
しかしこの物語には仕掛けがほどこされている。驚くべき仕掛けだ。そのことは後書きに書いておいた。それを読めば、本書の印象が一変するだろう。わたしの解釈は、まだ世界中の誰も気づいていないもので、大いに自慢である。
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関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)
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