フロイトはある女性の夢に見事な解釈をほどこしている。彼女はある夢をフロイトにむかって語ることをいやがった。その夢はあまりも曖昧模糊としているから、というのがその理由だった。後になって彼女は多くの男性と性的交渉を持っていることがわかった。その事実から夢の内容が判明した。つまり彼女は多数の男性と交わった結果、誰の子をはらんだのかわからないというものである。フロイトの解釈の見事なのは、夢の形式、すなわち曖昧模糊としているということが、抑圧された内容を直接的に夢に刻みこんでいると考えるところだ。女性は自分の問題(誰が子供の父親なのか)に向き合おうとしない。夢の中ですらそれができない。しかし内容から排除された要素は形式となって回帰する。
Slavoj Zizek - Form And Content In The Arts から
英語読解のヒント(211)
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§9. 不定の意を強める irgend 「何か」(etwas, was)といえばよいところを、特に念を入れて「何でもよいからとにかく何か」といいたい時には irgend etwas, irgend was といいます。その他不定詞(ein, jemand,...
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