第一次世界大戦を描いた小説や回想録を手当たりしだいに読んでいるが、これはちょっと記憶に残る作品である。将校や将軍のでたらめな指示によって無駄に失われる兵士の生命。人望のない上官に対する兵士の不満。過酷な塹壕戦が展開されるなか、兵士のあいだに広がる厭戦気分、そして反乱。良識を失った将校による、軍規を無視した処罰。それを食い止めようとしてその将校を射殺しようとするべつの将校。さまざまなエピソードが詰まっていて、その一つ一つがすばらしくドラマチックだ。しかもそのドラマは、淡々と語られているが故に、いっそう印象に残る。
この翻訳書の後書きによると、こうしたエピソードはほとんど事実に基づいていることが調査で確認されているという。戦争の現実がどのようなものであったのか、それを知りたいならまず第一に読むべき本だろう。翻訳も堅苦しいけど、悪くはない。
Friday, October 25, 2019
コリン・ブルックス「死体発見」
コリン・ブルックス(1893-1959)はイギリスのジャーナリストで30年代40年代はファイナンシャル・ニューズやサンデイ・ディスパッチの編集をしていた。BBCのラジオにも出演していたらしい。同時に以下のようなミステリも書いていた。 Mr X (1927) The Body ...
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ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
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§9. 不定の意を強める irgend 「何か」(etwas, was)といえばよいところを、特に念を入れて「何でもよいからとにかく何か」といいたい時には irgend etwas, irgend was といいます。その他不定詞(ein, jemand,...
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アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。 最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。 わたしは学術論文でもないかぎり、...