第一次世界大戦を描いた小説や回想録を手当たりしだいに読んでいるが、これはちょっと記憶に残る作品である。将校や将軍のでたらめな指示によって無駄に失われる兵士の生命。人望のない上官に対する兵士の不満。過酷な塹壕戦が展開されるなか、兵士のあいだに広がる厭戦気分、そして反乱。良識を失った将校による、軍規を無視した処罰。それを食い止めようとしてその将校を射殺しようとするべつの将校。さまざまなエピソードが詰まっていて、その一つ一つがすばらしくドラマチックだ。しかもそのドラマは、淡々と語られているが故に、いっそう印象に残る。
この翻訳書の後書きによると、こうしたエピソードはほとんど事実に基づいていることが調査で確認されているという。戦争の現実がどのようなものであったのか、それを知りたいならまず第一に読むべき本だろう。翻訳も堅苦しいけど、悪くはない。
Friday, October 25, 2019
AIの翻訳力についての雑感
中国の AI の技術力がマーケットに波乱を起こしているようだが、たまたまエセル・リナ・ホワイトの Fear Stalks the Village を再読していたわたしが、本文のある箇所に疑問を感じ、Copilot と 今話題の DeepSeek に質問してみたところ、面白い結果が...
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昨年アマゾンから出版したチャールズ・ペリー作「溺れゆく若い男の肖像」とロバート・レスリー・ベレム作「ブルーマーダー」の販売を停止します。理由は著作権保護期間に対するわたしの勘違いで、いずれの作品もまだ日本ではパブリックドメイン入りをしていませんでした。自分の迂闊さを反省し、読者の...
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久しぶりにプロレスの話を書く。 四月二十八日に行われたチャンピオン・カーニバルで大谷選手がケガをした。肩の骨の骨折と聞いている。ビデオを見る限り、大谷選手がリングのエプロンからリング下の相手に一廻転して体当たりをくわせようとしたようである。そのときの落ち方が悪く、堅い床に肩をぶつ...
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ジョン・ラッセル・ファーンが1957年に書いたミステリ。おそらくファーンが書いたミステリのなかでももっとも出来のよい一作ではないか。 テリーという映写技師が借金に困り、とうとう自分が勤める映画館の金庫から金を盗むことになる。もともとこの映画館には泥棒がよく入っていたので、偽装する...