第一次世界大戦を描いた小説や回想録を手当たりしだいに読んでいるが、これはちょっと記憶に残る作品である。将校や将軍のでたらめな指示によって無駄に失われる兵士の生命。人望のない上官に対する兵士の不満。過酷な塹壕戦が展開されるなか、兵士のあいだに広がる厭戦気分、そして反乱。良識を失った将校による、軍規を無視した処罰。それを食い止めようとしてその将校を射殺しようとするべつの将校。さまざまなエピソードが詰まっていて、その一つ一つがすばらしくドラマチックだ。しかもそのドラマは、淡々と語られているが故に、いっそう印象に残る。
この翻訳書の後書きによると、こうしたエピソードはほとんど事実に基づいていることが調査で確認されているという。戦争の現実がどのようなものであったのか、それを知りたいならまず第一に読むべき本だろう。翻訳も堅苦しいけど、悪くはない。
Friday, October 25, 2019
独逸語大講座(20)
Als die Sonne aufging, wachten die drei Schläfer auf. Sofort sahen sie, wie 1 schön die Gestalt war. Jeder von ihnen verliebte sich in 2 d...
-
19世紀の世紀末にあらわれた魅力的な小説の一つに「エティドルパ」がある。これは神秘学とSFを混ぜ合わせたような作品、あるいは日本で言う「伝奇小説」的な味わいを持つ、一風変わった作品である。この手の本が好きな人なら読書に没頭してしまうだろう。國枝史郎のような白熱した想像力が物語を支...
-
昨年アマゾンから出版したチャールズ・ペリー作「溺れゆく若い男の肖像」とロバート・レスリー・ベレム作「ブルーマーダー」の販売を停止します。理由は著作権保護期間に対するわたしの勘違いで、いずれの作品もまだ日本ではパブリックドメイン入りをしていませんでした。自分の迂闊さを反省し、読者の...
-
パット・フランクのこの小説は日本ではなぜか翻訳が出ていないが、デイヴィッド・プリングルがSF小説百選のリストにも入れた名作である。 まず時代は1959年。場所はフロリダのフォート・リポーズという小さな町だ。主な登場人物は、フォート・リポーズに住むランディ・ブラグという三十代の男と...