前座の二試合が無料放送だったので見てみたが、じつに面白かった。ファン感謝デーにふさわしいすばらしい内容だった。
第一試合はゼウス・TORU 組対 UTAMARO・入江茂弘組の戦い。もともとは UTAMARO と丸山敦が組むはずだったのだが、丸山が「まだ準備が出来ていない」という妙な言い訳をして、かわりに入江が登場することになった。リングに登場するとき丸山がマイクを握り、新ユニットの結成を予告したが、それは大笑いを誘うと同時に、新年の試合に向けてファンの期待を高めるもので、丸山のユーモアとプロデュース力を示す、見事なマイク・パフォーマンスだった。
入江の登場もうれしい限りだ。わたしは入江のファイト・スタイルが大好きだから。あの体型でスピード感のある技をよく繰り出せるものだ。愛嬌のある顔つきのせいか、女性ファンも多く、盛んに黄色い声援が飛んでいた。
試合ではさすがにゼウスが頭一つ抜け出た動きを見せていたが、入江がうまく TORU を捕らえ、スリーカウントを取った。役者がそろっていただけに、技も多彩で、迫力も充分。目を見張る第一試合だった。
第二試合は諏訪魔とジュニアヘビーの岡田のシングル。はっきり言って二十対一くらいの実力差があったが、岡田が懸命にスリーカウントを跳ね返し、ねばった。岡田は作戦を考える必要があるだろう。試合開始直後、彼は諏訪魔の脚を取ろうとしたが、すぐに上から潰されてしまった。こういうやり方ではヘビー級には勝てない。やはり相手から離れて、蹴り技などでダメージを与えなければ、苦しい。ヘビーが相手でも有効な決め技を持つことも必要だろう。青木はたしか岡田とおなじくらいの身長だったが、それでもヘビーを相手に一発を入れることのできる選手だった。青木の遺志を引き継ぐなら岡田も彼とおなじくらい戦略家にならなければならない。
アリス・ジョリー「マッチ箱の少女」
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ウィリアム・スローン(William Sloane)は1906年に生まれ、74年に亡くなるまで編集者として活躍したが、実は30年代に二冊だけ小説も書いている。これが非常に出来のよい作品で、なぜ日本語の訳が出ていないのか、不思議なくらいである。 一冊は37年に出た「夜を歩いて」...
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