エコについて最近二つのことを学んだ。
第一。プラスチックバッグは海洋汚染の原因になるとして世界的に評判がよくないが、ところがもともとプラスチックバッグはエコのために北欧のなんとかいう人が作ったものらしい。あれが発明される前は商品を入れるために紙袋が利用されていたのだが、この発明家は、そのために木が切り倒されるのはまずいと考え、安価で簡単にできるプラスチックバッグを考え出したのだ。(BBCの情報番組で紹介されていた)
なるほど。木から紙を作るにはコストもかかるし、CO2も大量に排出する。プラスチックバッグのほうがエコなのだ。ところがそれが便利すぎて大量にゴミにまじって海に棄てられるようになった。さらにそれは海洋生物の体内に取り込まれ、それを食べた人間の体内にも入り込んでくる。エコの理念のもとにはじまったものが、いつのまにかエコの理念を裏切るようになってしまった。この反転現象についてはよくよく考えるべきだと思う。
第二。温暖化を防ぐためにCO2の規制が叫ばれているが、車とか飛行機とか列車を含む全輸送部門よりももっとCO2を発生させているのが有畜農業なのだそうである。さらに有畜農業はCO2の80倍以上も有害なメタン、300倍以上も有害な亜酸化窒素を発生させている。この部門を変革しなければ、ほかの部門でどんなにCO2を削減しても、パリ協定は実現可能とならない。つまり温暖化を防ぐためには我々の食生活を変えなければならないということである。どれくらい減らさなければならないのかというと、アメリカやイギリスの平均的市民は牛肉の摂取を90パーセント減らし、乳製品の消費を60パーセント減らさなければならないくらいだそうだ。(ガーディアンの記事why we must cut out meat and dairy before dinner to save the planetから)
筋トレをやっている人間はぎょっとするだろう。ホエイプロテインの摂取は温暖化防止のためにならないのだから。わたしも牛や豚の肉は食べるのを減らし、主に魚からタンパク質を取ろうかと思っている。プロテインを作っている会社も、そのうちツナプロテインなんてものを出すようになるかも知れない。
温暖化が議論される場で食が問題として取り上げられることはほとんどない。テレビなどは広告主への気兼ねがある。食肉や乳製品の関連企業はこれを問題にすること自体に異を唱えるだろう。一般の人も食生活の変更を強いられることに抵抗を感じる。しかしこの問題に取り組まなければならない状況にわれわれはもう追い込まれている。
追記
小泉環境相のアホさ加減にはあきれるほかない。彼はグレタ・ツンベルグを批判して「大人を糾弾するのではなく、全世代を巻き込むようなアプローチを取るべき」と言う。そして「こういう(全世代を巻き込むような)アプローチの仕方もあるんだということを、日本(の若者)から発信してはどうか」と言っているが、おいおい、若者にやらせるんじゃなくておまえがやれよ。環境相だろうが。それがおまえの仕事だろうが。 そしてどうやって全世代を巻き込むのか、世界に向かってちゃんと計画を示せ。まったく、しゃべればしゃべるほど世界の恥さらしになる男だ。
Monday, December 23, 2019
英語読解のヒント(165)
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