Saturday, January 25, 2020

トッド・ロビンス「街の精霊」(1912)

作者名は Tod Robbins であって Tom Robbins ではない。後者はちょっと奇妙な小説を書く現代作家。トッドのほうは、「フリークス」という映画の原作を書いた人として有名だ。なんと彼が書いた最初の小説「街の精霊」が Internet Archive にアップロードされていたので読んでみた。

ジム・ホリデーという若者が田舎から都会のニューヨークへと出てくる。彼は自分に文学的才能があると自負している。彼は都会の出版社から偉大なるアメリカ小説を出して名声を獲得する日を夢見ている。

彼はニューヨークを隅々までよく知るノーマンという男に連れられ出版社へ行く。そして編集者からまじめな作品は書くな、娯楽的な作品だったら雑誌に出してやると言われる。

ジムは、当初の野望とは異なるけれど、それを受け入れ浅薄な作品を書き、作家として(金銭的には)成功するようになる。

ジムは同郷の友人ジョージとアパートに同居する。ジョージは銀行に勤めているのだが、彼もノーマンのアドバイスを受けて株に手を出し、大もうけしていた。

しかし彼らの成功が虚飾に満ちたものであることが、ある日、突然わかる。とりわけジョージのケースは悲劇的で、彼は結局命を落とすにいたる。

おおざっぱに言えばこんな話しである。これはファウスト伝説の変形版といっていいだろう。ジムとジョージを成功に導くノーマンはメフィストフェレスで、約束通りに依頼人にこの世の栄華を味わわせた後、魂をいただいて契約の決着をつけるわけである。

都会と田舎、虚飾と真実、物質的富と精神的豊饒、こうしたものが対立させられて物語は展開する。この道徳臭さがなんとも興ざめだが、しかし作者にストーリーテラーとしての才能があることはよくわかる。一つ一つのエピソードが面白く、また皮肉もよくきいている。また、ノワール的な雰囲気もうまく醸し出している。都会に潜む悪が、悪霊のように窓の外に見える場面などは、なかなかのものだ。本作は処女作のようなので、二作目以降、どのように作者が欠点を克服し、長所を伸ばしていったのか、都会の闇をどう表現していったのか、興味がある。

独逸語大講座(20)

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