Friday, March 6, 2020

小さな出版社

大手の出版社、たとえばペンギンとかクノップとかから出る作品は、もちろん気になるし、ホームページを毎月一度はチェックする。しかしそれ以上に気になるのが小さな出版社、英語で independent press といわれるところである。こういうところはアグレッシブに過去の忘れられた作家や、海外の新人作家などを発掘しようとする。大手の出版社から出る本は、名声の確立した作家の、質的にも安定した作品がメインとなるが、小出版社は冒険的な作家の選び方をする。そこがたとえようもなくいいのだ。

本年度の国際ブッカー賞のロングリストが発表になったが、ノミネートされた十三作品のうち、九作品はインディー系の出版社から出た本だった。プーシキンとかオイローパとかチャーコ・プレスなどだ。昔は五つの大出版社から出た本ばかりがノミネートされていたが、今は小さな会社が気を吐いている。

しかも彼らは収益もあげているようだ。もちろん経営の苦しい会社もあるのだろうが、中産階級の白人だけでなく、もっと多様な人種的・社会的背景を持つ作者を紹介している小さな会社をいろいろ調べたら、売り上げが80%近くも伸びているという結果が出たそうだ。

欧米では昔から男性作家ばかりが注目されること、本の内容に文化的な多様性が欠けていること(たとえば中産階級の白人作家は大量にいるが、移民の視点から書かれた本は少ない、など)、こうしたことが何度も問題にされてきた。大手の出版社はどうしても保守的だが、インディー系の出版社はLGBTの動きを反映して本の選定をしたり、古い作家、マイナー作家にもスポットライトをあてようとする。大手の出版社がしようとしない、文化の裾野の拡大という役割を、彼らは引き受けているのである。

読書家もある程度すれっからしになると、忘れられた作家、外国の未知の作家、入手困難な珠玉の名品などを貪欲に探し出そうとするものだ。そうした人間にとって小出版社の動きは目が離せないのである。

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