Thursday, March 4, 2021

関口存男「趣味のドイツ語」

Professor Meier

Hier ist ein Mann. Das1 ist unser2 Lehrer. Er lehrt3 uns4 Deutsch. Sein5 Kopf5 hat nur hinten Haar5. Er heißt6 Professor Meier.

Professor Meier ist sehr pünktlich7. Klinglingling! -- und schon ist er da8. Darum nennen wir ihn „Leiterwagen.“9 Ihr wißt10 doch11, was ein Leiterwagen ist? Auch ist er12 so lang wie13 eine mechanische14 Leiter.

Ich lerne mein Deutsch ganz15 fleißig. ich kann schon richtig deklinieren16: der Mann, des Mannes, dem Manne, den Mann. Ich antworte17 immer richtig, wenn18 Professor Meier mich19 fragt. Er sagt dann20: „Sehr gut!“ und lobt mich. Ich bin Professor Meiers21 Liebling.

Meine Kameraden22 beneiden mich, weil ich Professor Meiers Liebling bin. Aber ich meinerseits23 muß24 sie25 beneiden, daß26 sie nicht27 Professor Meiers Lieblinge28 sind29. Ihr fragt, warum? Nun30, das ist eine delikate31 Frage.

Seht32 doch33 auf meinen34 Nebenmann! Er nickt35 verständig36. Er nickt in einem fort37. Nickt er aber zu dem38, was der Professor sagt? Mit nichten!39

Ganz hinten40 übt41 einer42 die Aussprache des „ch.“43 Er macht44 ch! ch! ch! Will er etwa45 die Aussprache des Professors nachahmen?46 Hat er etwa ein so großes47 Interesse an48 der deutschen Aussprache?49 Mit nichten!

Am Ende50 schnarcht er ganz laut51. Mir52 steht das Herz still53. Die ganze Klasse lacht. Der Peter54 wiehert wie ein Pferd. Auch Professor Meier lacht mit55. Er denkt: „Mein Witz war56 gut!“

Ach, der süße57 Schlaf! Er ist aber ganz besonders58 süß, wenn Professor Meier spricht59. Und es ist so angenehm, mit60 dem süßen Schlaf zu kämpfen61. Angenehmer62 noch63, ihm zu erliegen!64

Aber ich darf65 es nicht, weil ich Professor Meiers Lieblingsschüler bin. Ich muß meine Kameraden beneiden, daß sie es nicht sind66.

逐語訳:Hier ここに ein Mann 一人の男が ist います。Das それは unser われわれの Lehrer 先生 ist であります。Er かれは uns 我々に(但し格は四格) Deutsch ドイツ語を lehrt 教えます。Sein かれの Kopf 頭は hinten 後方に nur のみ Haar 髪の毛を hat 持ちます。Er かれは Professor Meier マイエル教授 heißt という名です。
 Pr. Meier マイエル教授は sehr 非常に pünktlich (時間が)正確 ist です。Klinglingling! ガランガランガラン!(と鐘が鳴る) und すると schon もう er かれは ist da 其処にいます。Darum それ故 wir われわれは ihn かれを „Leiterwagen“ 「消防自動車」と nennen 名づけます。Ihr 諸君は doch もちろん ein Leiterwagen 消防車とは was 何で ist あるかを wißt? 知っているでしょうね? Auch また er かれは eine mechanische Leiter 機械仕掛けの梯子 wie のごとく so そんなに lang 長く ist あります。
 Ich 私は mein Deutsch 私のドイツ語を ganz 極く fleißig 勤勉に lerne 学びます。Ich 私は schon すでに richtig 正しく deklinieren 格変化すること kann ができます。der Mann 男が、des Mannes 男の、dem Manne 男に、den Mann 男を、と。Prof. M. マ教授が mich 私を fragt 試問する wenn ならば ich 私は immer いつも richtig 正しく antworte 答えます。dann すると er かれは „Sehr gut!“ 非常によろしい! sagt と云って und そして mich 私を lobt 褒めます。Ich 私は Pr. Meiers マ教授の Liebling 寵児 bin であります。
 ich 私が Pr. Meiers Liebling マ教授の寵児 bin である weil から Meine Kameraden 私の同輩たちは mich 私を beneiden 羨みます。Aber しかし ich 私は meinerseits 私の側として daß sie nicht Pr. Meiers Leiblinge sind はかれらがマ教授の寵児でないということ(に就て) sie かれらを beneiden 羨ま muß ざるを得ません。Ihr 諸氏は warum 何故と fragt? お問いですか? Nun, さて das それは eine 一つの delikate デリケートな Frage 問題 ist であります。
 doch まあ auf meinen Nebenmann 私の隣の男を seht ごらんなさい! Er かれは verständig 理解的には nickt うなづきます。Er かれは in einem fort たてつづけに nickt うなづきます。aber けれども er かれは der Professor 教授が sagt 云う was ところの dem そのこと zu に対して Nickt うなづくのでしょうか? Mit nichten! どう致しまして!
 Ganz hinten ずっとうしろの方では einer 誰か一人の者が die Aussprache des „ch“ ツェーハーの発音を übt 練習しています。Er macht ch! ch! ch! かれは ch! ch! ch! とやっています。er かれは etwa ひょっと des Professors 教授の die Aussprache 発音を nachahmen 真似ようと Will しているのでしょうか? er かれは etwa ひょっと an der deutschen Aussprache ドイツ語の発音について ein so großes Interesse 一つの左様に大なる関心を Hat 持っているのでしょうか? Mit nichten! 滅相もない!
 Am Ende 最後には er かれは ganz laut 極く高声に schnarcht 鼾をかきます。Mir 私には das Herz 心臓が steht still 停ります。Die ganze Klasse 全クラスが lacht 笑います。Der Peter ペーテルの奴と来たら wie ein Pferd まるで馬のように wiehert いななきます。Auch Pr. Meier マ教授も lacht mit いっしょに笑います。Er かれは mein Wits おれの洒落が gut 良 war かった(のだと) denk 考えます。
 Ach ああ der süße Schlaf 甘き眠り! Er (=Schlaf) それは aber しかし wenn Pr. M spricht マ教授が語りつつある時に ganz besonders 全く特に süß 甘く ist あります。Und そして mit dem süßen Schlaf 甘き眠りと zu kämpfen 闘うということは es それは so とても angenehm 快く ist あります。ihm (=dem süßen Schlaf) それに zu erliegen 打ち負けることは noch 更に一層 angenehmer より快(くあります)。
 Aber ところが ich わたしは Prof. Meiers Lieblingsschüler マ教授の寵児 bin である weil ために es それを darf nicht (しては)なりません。Ich 私は sie かれらが es それで nicht sind ない daß ということ(に就て) meine Kameraden 私の同輩たちを muß beneiden 羨まざるをえません。

註:【1】Das: 中性冠詞の das ではなく、「それ」(英:it または that)という代名詞。こんな時には er (英:he)というよりは das の方がよろしい。
【2】Unser = our.
【3】lehrt: 不定形は lehren (teach).
【4】uns = us. (uns は「我々を」という時にも「我々に」という時にも用いるから、形だけ見ると三格か四格がわからないわけですが、ここは実は四格なのです。これは lehren (教える)という動詞の用法からそうなるので、日本語では「かれは私にドイツ語を教える」と云いますが、ドイツ語は妙で「かれは私をドイツ語を教える」というのです。初歩の時にはこんな事を正確におぼえておく必要があります。
【5】sein = his.
【5】Kopt, m.: 「頭」です。pf の発音は p と f との中間を発音するというむづかしい音です。仮名ではフとやっておきます。
【5】Haar, n (髪の毛)英 hair.
【6】heißt: 不定形 heißen (……と呼ばれる、……と云う名である)
【7】pünktlich: 英 punctual. 几帳面な、主として時間を厳守することを pünktlich という。
【8】da = there.
【9】Leiterwagen, m: die Leiter (梯子)と der Wagen (車)との合成語で、すなわち消防自動車の畳み梯子をつけているやつ。あれを延ばすと五階にでも六階にでも届くのです。日本では高層建築が少ないのでまだあまり沢山みかけません。
【10】wißt: 不定形は wissen (知る)で、此の動詞は人称変化が不規則:ich weiß, du weißt, er weiß, wir wissen, ihr wißt, sie wissen.
【11】doch: これは「きっと斯う斯うでしょうね?」、「もちろん云々でしょうね?」というときの「きっと」や「もちろん」にあたる語です。
【12】auch ist er: 正規の順では Er ist auch です。Auch を前に持ってくると ist と er が逆になります。
【13】so lang wie: は英の as long as にあたります。分解は逐語訳で! 例:Ich bin so alt wie er. (私は彼と同年配です)
【14】mechanisch: 英の mechanical で、「機械の」「機械仕掛けの」という形容詞。うしろに -e という語尾がついているのは、eine の次では形容詞に必ず -e をつけることになっているからです。mechanische Leiter (機械仕かけの梯子)。
【15】ganz: 「全く」という意の語ですが、こういう時には sehr を使うのと同じ。
【16】deklinieren: 「格変化する」という動詞の不定形です。同じく変化するのでも、動詞の場合、すなわち「人称変化する」の方はちがった語を使って konjugieren [コンユギーレン]するといいます。
【17】antworte: 「答える」という antworten の発音に注意! すなわちアクセントは wor の方にではなく、ant の方にあります。「答」という名詞は die Antwort [ントヴォルト]。
【18】wenn: 英の when. (wenn は英の when にも if にもあたります)
【19】mich: 英 me. 此の mich fragt (私を問う)という使い方にも注意して下さい。これも前の lehren と同じく「或人に問う」と云わないで、「或人を問う」というのがドイツ語の習慣です。(mich, 私を、と mir, 私に、とを区別しておぼえること。)
【20】dann: 英 then.
【21】Meiers: 此の -s の語尾は英と同じで、「……の」の意。
【22】Kameraden: これは複数形で、単数は der Kamerad [カメート]、即ち英の comrade [ムレイドまたはムリッド]です。同輩、仲間、の意。Meine は mein の複数です。英語の my は、後に単数がきても複数が来ても my ですが、ドイツ語はそうは行きません。
【23】meinerseits (私の側では):これは ich meinerseits とつづけて、これを「私は私で」の意とおぼえるのが実用的です。(muß という助動詞の位置が ich のすぐ次に来ていないのでも ich meinerseits が密接に結びついていることがわかりましょう。
【24】muß: 英 must.
【25】sie: sie には色々ありますが、これは them にあたる sie.
【26】daß: 英 that (……ということを)。
【27】nicht:字と字との間があいています。これは特に強調するためです。これを隔字(Sperrschrift)といいます。特に強調するためには、日本語では点を打ったり「 」でかこったりします、英語ではイタリックといって斜体活字(not など)を用い、ドイツ語では此の隔字を用いるのが普通なのです。
【28】Lieblinge: -e という複数語尾に注目。
【29】sind: ist でないのは、この主語は sie (かれら)だからです。またこの動詞がいちばん最後に来ていることに注目して下さい。ドイツ語では、daß...... とか weil とかではじまっている文は、動詞を日本語と同じようにいちばん最後にもってくるのです。
【30】Nun は英の well に相当する間投詞です。なにかむつかしい問題に面して、急になんと云っていいかわからない時には、日本人なら「えゝと……」とか「そうですねえ……」とか云いますが、英米人は well......、ドイツ人は nun...... というのです。(nun は英の noon ではありません、now に当ることばです)
【31】delikate: 元の形は delikat [デリート]で、-e は女性語尾。英の delicateリキット)です。日本語ではデリケートなどと普通云っています。「一寸一口では云われない」、「微妙な」、つまり何でも荒っぽく取り扱われてはこまる、よほど慎重にソーッと取り扱わないと困る事柄のことを「デリケート」といいます。
【32】Seht: sehen (見る)の命令形(複数)です。Seht auf で英の look at にあたります。英語でも、単に look this book! といえばよさそうな時に at をつけて look at this book! といいますが、ドイツ語も同じです。auf は文字としては英語の upon にあたります。
【33】doch は、命令法を強めるために入れる助詞にすぎません。ドイツ語では命令文には、弱い時には mal (ちょっと)とか nur (まあ)とかを入れますが、強いときには doch を入れるのです。Komm mal! (ちょっとおいで!)Komm nur! (まあいらっしゃい)Komm doch! (来給えよ! 来給えってば!)
【34】meinen: mein (my) の男性四格形。
【35】nicken: 英の nod (うなづく)
【36】verständig: 「理解的に」(すなわち、いかにも万事承知したといったように、です。正にその通り、よくわかりました、なるほど御もっとも、といったようにうなづいているわけです)
【37】in einem fort: これは熟語ですから、三語いっしょにして「たてつづけに」という意味だと覚えること。
【38】zu dem, was......: この dem は das (そのこと)という、すなわち das ist (that is) の das に対する三格の形です。(従って冠詞ではありません)なぜ三格形を用いるかというと、その前の zu という前置詞(英の to または at)が、三格支配の前置詞だからです。das, was...... は「……するところのその事」で、英語の that which...... です。このへんは逐語訳の所を見てよく研究すること。
【39】Mit nichten! これは「決して!」「どう仕りまして!」という熟語ですから、このままの形をそういうものとしておぼえること。
【40】Ganz hinten: 文字通りに訳すれば「ごくうしろに」、意訳すれば「ずっとうしろの方で」
【41】übt: 「ープト」と発音します。なぜユーを長く発音するかというと、それは不定形が üben 「ーベン」(練習する)だからです。
【42】einer: 「ひとりの人間」、「ある人」、「誰かが」で、英の someone にあたります。不定冠詞にあらず。
【43】des „ch“: ch といったような、その時々の勝手なものを名詞として用いる時にはすべて中性として扱います。従って一格なら das „ch“ となるところです。こんなものは、二格では des chs と s をつけないで、大抵無語尾のままにしておくのが習慣です。
【44】macht: 英の make に相当する machen ですが、ここは別に「作る」などという意味はなく、なんでも「……という声を発する」ということを macht というのです。Die Katze macht miau! (猫はニャーゴという)
【45】etwa: 「ひょっと……でもあろうか」というときに入れる助詞です。etwa ich といえば「私でも」、etwa mir といえば「私にでも」となります。つまり日本語の「でも」にあたる軽い語です。(etwas, 英 something と混同しないこと)
【46】nachahmen (真似る)、ハアーメンに非ず、ーハアーメン。nach は大抵長く発音します。(ただ Nachbar, ハバール、隣人、だけは例外)
【47】großes: groß (大きな)に -es という中性語尾がついているのは、次の Interesse (関心、興味)という名詞が中性だからです。
【48】Interesse an......: これも「……に関する関心」とおぼえること。an は前置詞ですが、前置詞の用法はこうした具体例をよく覚えるのがいちばん早道です。
【49】der deutschen Aussprache は三格(女性)。
【50】Am Ende (最後に):das Ende は「終」で、それに an がつくと am Ende となります。これも熟語として分解しないでおぼえること。
【51】laut: 英の loud です。ここでは loudly にあたります。――英語は形容詞に -ly をつけて副詞を造りますが、ドイツ語は形容詞に何の語尾もつけないで、そのままの形が副詞としても用いられます。
【52】Mir steht das Herz still (私には心臓が停止する)とは Mein Herz steht still (私の心臓が停止する)というのと同じことです。
【53】still: 語としては「しずかに」の意(英の「まだ」という still ではありません)ですが、steht still (しずかに立つ)の二語で「停止する」という熟語です。不定形は stillstehen と一語をなします。
【54】Der Peter: Peter は名前です。英語では人名に定冠詞はつけませんが、ドイツ語では「例の誰それ」とか、「誰それの奴」とか、少しなれなれしく人名を引用するときには定冠詞をつけます。
【55】mit (いっしょに)は、普通は前置詞ですが、ここはそうではなく、副詞のようなものです。lacht mit で「いっしょに笑う」です。不定形は mitlachen (共笑いする)
【56】war: 英 was. (ist に対する過去形)
【57】süß: 英 sweet.
【58】besonders: 特に、殊に、特別に。
【59】spricht: 不定形は sprechen. (これは er sprecht とはならず er spricht となります)
【60】mit: 英 with. これは前置詞です。
【61】zu kämpfen: 「闘うということ」(「……ということ」というときには動詞の不定形に zu をつけることがあります。英語でも to fight です。ただし文章中にこれを置く位置が、英語ではずっと前になり、ドイツ語はいちばんあとというわけです。)
【62】angenehmer: これは angenehm に -er という比較級語尾(より云々)がついた形です。
【63】noch (なお、更に、一層)は angenehmer の前に置いても後に置いても同じことです。
【64】erliegen: 「敗ける」という動詞。ihm erliegen で「かれに負ける」です。
【65】darf は不定形 dürfen (英 may)で、云々して宜しい、という助動詞。ただし此処では動詞の方は省いてあります。入れるとすれば Ich darf es nicht tun (I may not do it すなわち I must not do it の意)です。
【66】daß sie es nicht sind (かれらがそれでないことを):日本語でも英語でも「そう」でないことを、といいますが、ドイツ語でこういう時には es (それ、it)を使います。

意訳:ここに一人の男がいます。それは僕たちの先生です。かれは僕たちにドイツ語を教えます。かれの頭は後方にのみ毛があります。かれはマイエル教授と云います。
 マイエル教授は非常に時間が正確です。ガランガランと鐘が鳴るともう来ています、だから僕たちは此の人のことを消防自動車と云っています。諸君は消防自動車というのを御存じでしょう? それに此の人は消防自動車の救命梯子のように背が高いのです。
 僕は一生懸命にドイツ語を勉強します。僕は、デルマン、デスマンネス、デムマンネ、デンマンといったように、もう間違いなく格変化ができるのです。マ教授が僕に質問しても僕はいつも正しい答をします。すると教授は「非常によろしい!」と云って褒めます。僕はマ教授のお気に入りなんです。
 僕の同輩たちは、僕がマ教授のお気に入りだというので、羨ましがります。けれども、僕にしてみると、かれらがマ教授のお気に入りで「ない」ということが羨ましくてたまらないのです。何故ですって? そうですね、それはちょっとデリケートな問題なんですがね。
 ちょっと僕の横にいる男をごらんなさい。かれは、えらいわかったように、うなづいています。たてつづけにコクリコクリとうなづいています。しかしそれははたしてマ教授の云っていることに対してうなづいているのでしょうか! どう致しまして!
 ずっとうしろの方で、誰かしきりに ch の発音を練習しています。フー、フー、フーとやっています。マ教授の発音をその通り真似しようと云うのでしょうか? ドイツ語の発音に対してそんなに興味があるのでしょうか? 飛んでもないこと!
 お仕舞にはとうとう大きな声で鼾をかきました。僕はドキッとして心臓がとまるかと思いました。全クラスがドッと笑います。ペーテルの奴、まるで馬の嘶くような声を発して笑うじゃありませんか。マ教授もいっしょになって笑いました。自分の云った駄洒落が上出来だったと思ったんでしょう。
 いや、眠くなるとたまらない好い気持なものです。マ教授の講義を聞きながら眠ると殊に好い気持です。その好い気持の眠気と闘うのが、これまた何とも云えません。闘って利あらざれば尚さら好い気持になってしまうのです!
 ところが、僕はマ教授のお気に入りであるために、それができないんです。だから僕は、僕の同輩たちがマ教授のお気に入りでないことを羨ましく思うのです。

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