「ヤクザ・ゼロ」のいちばん最期の部分。主人公の一人真島が、愛する女のオルゴール時計を修理し、それを彼女に返す場面。そして真島がとうとうもう一人の主人公桐生と対面する場面。ゲーマーはみな Finally! とか Fated meeting と叫ぶ部分である。ビデオゲームをしない人のためにつけ加えると、ゲームのコントローラーはしばらく触らずに放っておくと勝手にゲームを一時中断させてしまう。
I can't deal with this emotion!
Jazz: Did he fix1 the watch?
Aenne: It's gonna pop out2 of the ground?
Jas: Did he bury it? Oh he did3 fix it.
Aenne: Stupid Majima.
Jazz: Aenne.
Aenne: Fucking Majima making me cry like a baby4.
Jazz: Because he loves.
Aenne: Oh, shit! I can't deal with this emotion!5
Jazz: Goddam it, controler!
Aenne: Oh my god! Thank you, controller, for giving me a moment6.
ジャズ:彼(真島)、時計を直したの?
アナ:地面から(時計が)飛び出してくるのかな。
ジャズ:彼は時計を埋めたの? ああ、本当に直したんだ。
アナ:馬鹿よ、真島は。
ジャズ:アナ。
アナ:真島の馬鹿。わたしを赤ん坊みたいに泣かせて。
ジャズ:彼は恋しているのよ。
アナ:ちょっと、なによ。わたしはまだ泣いているっていうのに。
ジャズ:このコントローラーめ。
アナ:ちょっと! ありがとう、コントローラー。おかげで一息つけたわ。
1 fix は「修理する」。
2 pop out は「飛び出す」。「~から飛び出す」という場合はこの文のように pop out of ... と言う。
3 この did は「本当に~したんだ」の意味。動詞で表現される事態が本当であることを強調するもの。did を強く発音していることに注意。
4 「赤ん坊のように泣く」という決まり文句。すぐ泣く人や、ぐずぐず言ってばかりの人を crybaby とも言う。Don't be a crybaby. 「めそめそするんじゃないよ」。
5 deal with は「対処する」。「この気持ちに対処できない」とは、真島の悲恋にまだ涙しているのに、待ちに待った主人公同士の出会いが訪れ、泣いたらいいのか、胸をどきどきさせたらいいのか、わからないということ。
6 この a moment は「一息つく間」の意味。コントローラーのおかげで混乱した気持ちをリセットする時間がもらえたわけである。