Thursday, February 17, 2022

新刊案内

F・アンスティの「ステラ・メイベリーの告白」をアマゾンから出したのでご報告します。

F・アンスティはヴィクトリア朝の後期、十九世紀の末から二十世紀の初頭に活躍した作家です。そのほとんどはユーモラスな設定の軽い読み物で、とくに「あべこべ」という作品は人気がありました。日本でも男の子と女の子の心が入れ替わるという話がありますが、その原型ともいえる作品で、こちらでは実業家の父親とやんちゃざかりの男の子の心が入れ替わります。

「ステラ・メイベリーの告白」はF・アンスティが書いたホラー小説です。最近ヴァランコートという出版社から再刊され、読書家のあいだではちょっと注目されました。(書評サイトの Goodreads では四点以上の高得点を取っています。)ステラという若い女性が悪霊との闘いを語るのですが、しかしステラはいわゆる「信頼できない語り手」で、悪霊との闘いがほんとうなのか、彼女の妄想なのか、わからないような書き方になっています。ヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」がお好きな方は、ぜひ一度読んでみてください。

ジュアンーデヴィッド・ナシオ「精神分析と反覆」

  本書は現代フランス思想叢書の一冊として SUNY Press から2019年に出版された。著者はまったく知らないが、題名に惹かれて読むことにした。 最初のほうに随分ナイーブな言明があらわれてびっくりした。精神病患者は症候の解釈を与えられると、その症候から解放されるというのであ...