F・アンスティの「ステラ・メイベリーの告白」をアマゾンから出したのでご報告します。
F・アンスティはヴィクトリア朝の後期、十九世紀の末から二十世紀の初頭に活躍した作家です。そのほとんどはユーモラスな設定の軽い読み物で、とくに「あべこべ」という作品は人気がありました。日本でも男の子と女の子の心が入れ替わるという話がありますが、その原型ともいえる作品で、こちらでは実業家の父親とやんちゃざかりの男の子の心が入れ替わります。
「ステラ・メイベリーの告白」はF・アンスティが書いたホラー小説です。最近ヴァランコートという出版社から再刊され、読書家のあいだではちょっと注目されました。(書評サイトの Goodreads では四点以上の高得点を取っています。)ステラという若い女性が悪霊との闘いを語るのですが、しかしステラはいわゆる「信頼できない語り手」で、悪霊との闘いがほんとうなのか、彼女の妄想なのか、わからないような書き方になっています。ヘンリー・ジェイムズの「ねじの回転」がお好きな方は、ぜひ一度読んでみてください。