Ward Moore (1903-1978) の作品はあまり翻訳されていないのでこの作家を知らない人も多いと思う。しかしどの本もそれなりに面白く読めるいい作家である。大恐慌の時期を描いた Breathe the Air Again、オルタナティブ・ユニヴァースを描いた Bring the Jubilee も興味深い作品だと思った。他の本もよさそうなので、心の片隅に彼の名前を記憶していたのだが、先日 Project Gutenberg の新刊(旧刊?)案内の頁を見ていたら、いきなり彼の Bring the Jubilee が電子本化されていたのでびっくりした。
これは1953年の出版だから、まだパブリックドメイン入りしていないのでは、と思ったが、おそらく著作権の継続申請が行われなかったのだろう。パルプ雑誌などに書き飛ばされた作品は、いちいち申請が行われず、すでにパブリックドメイン入りしている場合がある。Project Gutenberg はそれを調査して突き止めたのじゃないかしら。(ちなみにアメリカでは著作権の違反はすぐに裁判沙汰となり、膨大な違反金を取られるので、Project Gutenberg の調査も念入りである)
しかしそれにしても驚いた。このタイトルを見たとき一瞬目を見張り、自分はまだ寝ぼけているのかと思ったくらいだ。Bring the Jubilee の本は引っ越しの時に処分してしまってもう手元にないけれど、ほかの作品を捜して読んでみようかと思っている。