Friday, September 29, 2023

エドマンド・スネル「青い殺人光線」

エドマンド・スネルはイギリスのパルプ作家で、今は読む人はほとんどないかもしれないが、存命の頃は人気があって多作でもあった。本書(原題は Blue Murder)は1927年に発表されたもので、SFとスパイ小説が合体したような作品になっている。

アラン・ダイトンは軍隊でめざましい活躍をしたが、戦後は General Agents というなんだかよくわからない商売を営んでいた。たぶん代理人として法律的な交渉ごとをするするのだろう。大して儲かりもしないし、アラン自身も熱意をもってやっているわけではないようだ。そこに戦時中の上官から連絡が来る。フランス人の科学者が殺人光線を発明したが、それが「トカゲ」と呼ばれる稀代の悪党に盗まれ悪用されようとしている。それを防げ、という命令である。市民的な生活が苦手なアランは、さっそくこの冒険に身を投じる。そしてイギリスからフランスへ、フランスからイタリアへと冒険を続けるのだ。

正直なところ、さほど面白い物語ではない。冒険は次々と起きるのだが、それらは平板に並べられているだけで、全体をまとめあげるような「核」がない。大衆作家はときどきエピソードをだらだら続けただけの作品を書くことがあるが、その一例である。文章自体は悪くないので、ほかにも何作か眼を通してみようと思う。

関口存男「新ドイツ語大講座 下」(4)

§4.  Solch ein kleines Kind weiß von gar nichts. そんな 小さな子供は何も知らない。  一般的に「さような」という際には solch- を用います(英語の such )が、その用法には二三の場合が区別されます。まず題文...