Sunday, April 20, 2025

電子化された注目の二作

 


ウィキソースにルイ・レヴィの Menneskeløget Kzradock 「タマネギ人間クスラドック」のコピーがアップロードされているのを見て驚いた。これはデンマークの作家レヴィが書いたサイケデリックな幻想小説で、ヴァルター・ベンヤミンやゲルショム・ショーレムがドイツ語訳を読んで感嘆したことで知られる。しかしわたしの知る限り日本語訳は出ていないと思う。数年前、日本の大学図書館の所蔵本を検索したとき、デンマーク語の原作はどこにもなかったが、ドイツ語訳は一冊だけとある図書館にあることがわかったので、市立図書館を通じて借りられないかと尋ねて見たのだが、残念ながらだめだった。2017年に英語訳が出て、こっちは読んだ。原作が手に入ったので、まあ、わたしのデンマーク語の実力はたいしたことないのだが、英訳と付き合わせながらもう一度読み返してみようと思う。パルプであり、ゴシック・ホラーであり、シュールな内容で、すれっからしのミステリファンなら見逃せない一冊である。


今年パブリックドメイン入りした作品のなかで、もうひとつ注目すべき作品はJ・B・ブリーストレーの The Good Companions 「仲よし座」である。わたしはプリーストレーの大ファンだし、「仲よし座」は誰もが認める彼の傑作である。奇矯な役者たちが集まった一座の物語で、ディケンズばりの人物描写がすばらしく、またかぎりなく切ない気持ちにさせるエンディングもみごとだ。これが気に入ったなら「天使通り」や「イメージ・メン」などの作品も手に取ってほしい。いずれ劣らぬ名作である。プリーストレーが日本でもパブリックドメイン入りしていたなら、全作品を訳出してもいいのだが。

英語読解のヒント(184)

184. no matter を使った譲歩 基本表現と解説 No matter how trifling the matter may be, don't leave it out. 「どれほど詰まらないことでも省かないでください」。no matter how ...