Sunday, March 31, 2019

青木、チャンピオン・カーニバルに参戦

真霜拳號が怪我のため、チャンピオン・カーニバルを欠場することになった。

プロレスラーはほんとうに怪我と闘わなければならないし、欠場する選手が出るたびに胸が痛くなる。どんなに気をつけていても運動していれば怪我は突然襲ってくる。わたしも筋トレをしているから、その怖さはよくわかっているつもりだ。わたしが高重量を扱わないのも怪我を避けるためである。

それはともかく、秋山社長が補欠の選定に悩んでいるとき、青木が自分を出させてくれと申しこみ、受け入れられたそうだ。こういう踏み込みのよさ、決断力、あるいは責任感とでもいうべきものが青木の真骨頂である。彼が「隊長」と渾名されるのは伊達ではない。

青木はジュニアだから体格的にはまったく不利だ。しかし秋山社長は、彼ならやってくれる、とコメントしている。全日のツイッターを見たら、さっそく青木の優勝を予想している人もいた。みんな青木の意気を感じているのだ。

しかし、わたしが言いたいのは、青木のことではない。なぜジュニアのチャンピオンである岩本がまっさきに名乗り出なかったのかということである。岩本には新しい世代の牽引役として期待をかけているが、しかしまだどこか頼りなさ、物足りなさを感じる。それがまたしてもここであらわれた。青木はツイッターに「なんで青木? と思う方は圧倒的に多いはずです。最近は特に何か実績を残しているわけでもないですから。 でも、ここで動かなかったら自分の先は無いような気がしました。」と書きこんでいるが、岩本なら「実績」があるし、申し分ないだろう。この行動力の差がチャンピオンとして君臨した男と、これからチャンピオンの風格を身につけようとしている男の差なのだろうか。

Friday, March 29, 2019

タンパク質の量

わたしは十年ほど前に胆嚢をとった。石ができ、癌になる可能性があるといわれたからだ。術後の経過はよかったのだが、あるとき重いものを持つと、右の体側が折れることに気づいた。胆嚢を切除した影響だろうか。それからは筋トレをして身体作りにはげむようにしている。

筋トレだけしても筋肉はつかない。筋肉量を増やすには、筋肉の材料を食べなければならない。つまりタンパク質だ。この摂取量に関して、厚労省は、六十五歳以上の人は、やや多めに取ることが望ましいと、摂取基準値をちょっとだけ上げるようだ。目安として毎日体重一キロに対して一グラム以上のタンパク質摂取をすすめている(体重が五十キロなら、五十グラムのタンパク質)。

たぶんボディビルダーやプロレスラーなどは体重一キロにつき三グラムくらいはタンパク質を摂取しているだろう。それに較べれば一キロ/一グラムは少ないが、しかし実際にやってみると、意外とたいへんである。食が細い人は食事の量を増やさなければならないだろう。

そういう人はプロテイン・サプリを飲むといい。「プロテイン=たんぱく質」サプリは、非常に優秀で効果がある。これはわたしも体感したので自信を持っていえる。飲み始めの人ほど効果があらわれると思う。ただ市販されているプロテインはやたらと高いので、ネット上で販売されているのを買う方がいい。

プロテインを一キロ/一グラム摂取し、かつ適度に筋トレをすれば、何歳になっても筋肉は成長する。べつにムキムキになる必要はない、健康的な生活を維持できるだけの筋力がほしいという人は、膝を床につけたままでの腕立てや、スクワット、クランチといった運動を疲れすぎない程度に、定期的に行えばいい。(強度の運動は怪我の元なので、気をつけてほしい)時間もさほどかからないし、ちょっとずつ身体が変化していくのを確認するのは楽しいものだ。

Thursday, March 28, 2019

石川の意地

三月十九日に行われた関本・岡林組(チャンピオン)対諏訪魔・石川組(挑戦者)による世界タッグ選手権が YouTube で視聴できたので一言感想をいいたい。すごかった。とてつもない迫力の試合だった。四人ともすばらしかった。

勢い余って四人が場外に出てしまったこともあったけれど、そのあとは乱戦にならず、リングで試合をしてくれたのもよかった。エプロンサイドや場外での攻防は危険すぎて見ていられない。

石川は最後によくぞ気力をふるいたたせたと思う。終盤に岡林のゴーレム・スプラッシュ(いい技の名前だ)をくらってからはもうだめだと、見ている方もしめかけたけれど、場外で関本を押さえる諏訪魔に檄を飛ばされてよろよろと立ち上がり、回転式のラリアットを決めてからは連続攻撃をしかけて、ついに岡林からピンホールドをとった。

試合中は終始、岡林のパワーが石川の巨体を圧倒していただけに、思わずわたしも、やった、と手をたたいた。圧巻だった。モンスター同士の壮絶なバトルだった。

ベルトが大日本プロレスに移ったのは石川が関本からピンを取られたからだが、今回は石川が岡林からピンを取った。これで五分。またいつか大舞台で彼らの戦いを見たいものだ。全日に来てくれた大日本プロレスにも感謝したい。

Tuesday, March 26, 2019

COLLECTION OF ENGLISH IDIOMS

早稲田大學敎授 深澤裕次郎著
應用英文解釋法
東京英文週報社發行

(p. 18-21)

範例
The tall tower stood out boldly against clear evening sky.

解説
Against
  = In optical contact with
  = In contrast with
  = Having as background
  と接觸するが如く見えて
  と對照して
  を背景として
  をうしろに
  の上に

例へば水平線上碧空を背景として艦影を望むが如く多くは背景との色彩の相違に依り其物の明に際立ちて見ゆるに云ふ。
從て   Clearly         明に
     Distinctly      明に
     Brightly          鮮に
     Boldly            際立ちて
     In relief         くつきりと
     In bold relief    くつきりと際立ちて
     In strong relief  くつきりと際立ちて
等の Adverb 及 Adverbial Phrase を伴ふ事多し。  
例へば
                         |clearly     |
                         |distinctly   |
                         |brightly    |
The tall tower stood out |boldly     |against the clear evening sky.
                         |in relief    |
                         |in bold relief |
                         |in strong relief|
猶ほ against の代りに on を用ふる事あり。又 against の次に the background of (の背景)の來る事あり。

用例
1.  It shone out with dazzling brightness against the murky, starless sky.
    W. Collins
    其火焔は暗い星の無い空を背景としてぎらぎらと輝いた。
2.  He never cared to look at the town standing out in relief against the sky.
    Jules Verne
    彼は空を背景にくつきりと現はれてゐる都會を眺めようとはしなかつた。
    in relief くつきりと。
3.  Nothing could be seen from the windows but an immense white sheet, against which the steam of the engine looked gray.
    Jules Verne
  窓からは眼も及ばぬ程の一面の白い雪景色の外は何にも見えなかつた、其雪と對照して汽鑵の蒸汽が鼠色に見えて居た。
4.  At this moment a lamp was lit at the end of the street, and a fir-branch hanging from an iron bar stood out on the white twilight sky.
    V. Hugo
    此時街のはづれに一個の燈が點ぜられた、而て鐵の棒から下つて居る樅の枝が白い黄昏の空を背景に現はれてゐた。
5.  Her graceful figure stood out distinctly and finely against the clear sky; but I looked at her with a feeling of hostility.
    Turgenev
    彼女の優美な姿は晴れた空を背景にはつきりと美しく現はれた。併し私は憎いと云ふ感じを以て彼の女を眺めた。
6.  The shepherd's dog barked fiercely when one of these alien-looking men appeared on the upland, dark against the early winter sunset.
    G. Eliot
    此等の胡散らしき人の一人が早き冬の夕陽をうしろに丘の上に黒く姿を現はした時に羊飼の犬は烈しく吠えた。
7.  Standing out distinctly against the darkness of the velvet was a mass of wavering nebulous light, that gradually defined itself as a blue star.
    J. E. Muddock
    打ち震ふ星雲の如き一團の光が天鵞絨の黒い上にはつきりと現はれ次第に靑い星となつた。
  defined itself はっきりして來た。
8.  The boy held the tiller, while against the red glare of the furnace I could see old Smith, stripped to the waist, and shovelling coals for dear life.
    C. Doyle
    少年は梶を握つて居り、それから火爐の赤い火をうしろに腰の邊まで服を脱ぎ一生懸命石炭を*(一字漢字が読み取れず)いて居るスミス老人が見えた。
  for dear life 一所懸命に
9.  There was no doubt about it; before me were the thick lips, fat cheeks and squat nose standing out with startling clearness against that flaming background.
    H. R. Haggard
    それに就ては一點の疑も無かつた、即ち我々の前面に*(一字漢字が読み取れず)つて厚き唇、肥えたる頬、平たき鼻は彼の燃ゆるが如き朝日を背景に驚く計りはつきりと現はれてゐた。
10. In the east the dark mass of Val de Grace stood out against the bright steel blue horizon, and glittering Venus rose behind the dome and looked like a soul escaping from a gloomy edifice.
    V. Hugo
  東方を見るとヴル・ド・グラースの黒き山影が晴れやかな鋼鐵の如き青い地平線を背景に現はれ煌々たる金星は圓蓋の背後より昇り宛ら其陰鬱なる建物より逃れ出でたる靈魂の如く見えた。
11. Where can the singer be? Look up! look up! The skylark is the singer -- there he is so high up in the air, that he seems to us no more than a dark spot against the white clouds.
    L. R. IV.
  歌ふ者は何處に居るので有らう? 仰ぎ見よ、仰ぎ見よ、歌ふ者は雲雀で有る、雲雀は白い雲の上の一點としか見えないほども空高く飛んで居る。
12. He was standing out against the sunset sky on a little eminence, or ridge of ground, which ran through the swamp, evidently a favourite path for game, and there was something very beautiful about him.
    H. R. Haggard
    沼地の中に在る小丘或は土地の*(漢字一字読み取れず)(これは獸が好んで通る道らしい)の上に彼は落日の空をうしろに姿を現はして居たが、其姿には非常に優美な趣があつた。

Sunday, March 24, 2019

Secondhand books: the murky world of literary plagiarism

アリソン・フラッドがガーディアン紙に「古本 文学的剽窃という薄暗い世界」というタイトルで記事を出していた。

最近ガーディアン紙上で盗作問題が連続して取り上げられたので、それをまとめたような内容になっている。それを読んで思ったことを書きつけておく。

わたしは学術論文でもないかぎり、盗作にはさほど目くじらをたてるべきではないと思っている。著作権をやかましく言い立てることも、どうかと思う。なぜなら文化とか思想といったものはいろいろな形で「伝播」するもの、「伝播」をうながすべきものだからである。今までにもおなじことは何回か書いた。

アリソン・フラッドはマーク・トウェインのこんな言葉を引いている。「人間が話すことも書くことも、みんな盗作じゃないかね」

そうなのだ。子供がままごとをし、大人の口真似をして成長するように、作家だって既存の言語、表現を真似ることで新しい作品を作っていくのである。これもアリソン・フラッドが引用している言葉だが、T. S. エリオットは「未成熟な詩人は真似をする。成熟した詩人は盗む」と言ったらしい。

日本はまだ文字がなかったころ、中国人が使う漢字に一驚し、それを輸入した。中国人の真似をして、自分たちの文化・文学をつくりはじめたのだ。和歌なんていうのは、本歌取りといって、他人の作品を上手に自分の作品に取り込むことがその重要な技術のひとつに数えられている。明治に入ってからは西洋の単語、西洋語の文脈を日本語に取り入れ、近代化をはかろうとした。経済成長するときも、日本の企業は西洋の製品を真似して作り、そこに洗練を付け加えていったのである。日本はいつも他国の文化を真似て成長してきた。上手に真似をすること、これが大切なのだ。古今東西を通してシェイクスピアはおそらく最高の言語芸術を残したが、そのすべては昔からある言い伝えや物語の焼き直しである。

べつに真似する気はなくても、作品の発想が似てしまうことはよくある。われわれの思考や発想はある程度、時代によって規定されているので、それは仕方のないことだ。同じ時代に生きていればいくつかの問題系をどうしても共有してしまう。

また無意識のうちに他人の作品を摸倣することもある。これは記事にはない例だが、ヘレン・ケラーの書いた童話が盗作扱いされたことがある。たしかによく似た話がすでにあって彼女はそれを「読んだ」(ヘレン・ケラーのことなので、読んだ、には括弧をつけておく)事があるのかもしれないが、「読んだ」としてもヘレン自身はその話をすっかり忘れてしまっていたのである。無意識の摸倣なんてことはしょっちゅう起きているだろう。

物語のプロットや登場人物の名前までが「偶然」に似通うことだってあるだろう。アリソン・フラッドは、A・J・フィンのミステリ「窓の女」と自己出版されたサラ・A・デンジルの「エプリルを救って」がよく似ていることを詳細に報告しているが、記事の内容を見る限り、どっちがどっちを真似たともいえないようだ。二人の人間が別々に、しかし同時期に、おなじ発明をすることがあるように、文学の世界においても別々の人間がおなじ想像をふくらますことがあっても不思議ではない。文学作品同士の類似とはちょっと違うが、モーガン・ロバートソンが書いた「タイタン号沈没」は、作品が出版されて十四年後に起きたタイタニック号の沈没を実に正確に「預言」していたことで知られる。船の名前もそっくりだし、タイタン号は全長八百フィートだが、タイタニック号は八百八十二フィート、排水量は前者が四万五千トン、後者は四万六千トンと驚くべき類似を見せている。タイタニック号の製造もその根本には巨大船にたいする人間の夢があると考えるなら、これまた夢想、空想、想像が偶然にも一致した例と考えていいだろう。

摸倣したり情報を伝播するのは人間の条件みたいなもので、それをいちいち資本主義の原理である著作権などで縛るというのは意味がないし馬鹿げている。丸谷才一は「文学は文学からつくられる」と言ったが、文学というのはとりわけ摸倣、パロディ、剽窃をこととする、まことにあやしげでいかがわしく、謎めいていて得体がしれず、かつ猥雑なバイタリティに富んだ領域なのである。お上品とか秩序をここに見るのはおおきな間違いだ。

Friday, March 22, 2019

ドイツ語の教科書

今、わたしはこのブログで古い語学書を電子化しているけれども、英語の教科書の名作というものがあるだろうか。これは難問だ。正直、すばらしいと賞賛できる作品は思いつかない。日本人によって書かれたもの、日本以外の国で書かれたもの、わたしはかなりの数の教科書を読んでいるはずだが、自信を持って人に推薦できるような本には出会っていないようだ。

ところがドイツ語の教科書ならある。それも二冊もある。一冊は Graded German Reader -- Erste Stufe である。これはかなり有名な教科書で、今でも人気がある。ドイツ語を読みたいと考えている人は必読だろう。一ページ目から順々に読んでいけば、確実に読解力がついていく。奇跡的といってもいいくらい見事に読み物、練習問題が配列されていて、無理なく知識を蓄えていくことができるのだ。

もう一冊は Foundation Course in German というタイトルで、これはあまり知られていないかもしれない。Conrad P. Homberger という人が書いたもので、普通のドイツ語の初級教科書なのだが、発音や文法の説明は短く的確で、練習問題もよく考えられてつくられている。おそらく作者はドイツ語の教師なのだろう、しかも教え方に工夫を凝らすタイプの教師なのだ。彼の永年の経験のエッセンスがこの教科書に詰まっているのではないか。

欧米におけるドイツ語の教授法は日本のそれとは違っているので、ちょっと目には戸惑う人もいるかもしれないが、ドイツ語のリフレッシャー・コースを探しているなら上の二冊はおすすめである。

Wednesday, March 20, 2019

三月十九日全日本プロレス後楽園大会

ベルトのかかった試合が三つ行われた。

ジュニアヘビーの岩本・鈴木戦は、岩本が防衛に成功。鼓太郎に勝って岩本の存在感が増した。以前はベルトを獲っても、なんとなく頼りなさが漂っていたし、実際、すぐ近藤修司に王座を奪われたが、今回はちょっとちがうようだ。

試合後のインタビューで、「全日には飛んだり跳ねたりする選手がいないので、他団体の選手にも眼を向けたい」と言っていたが、それはいい考えだと思う。彼は真面目で地味な選手なので、対戦相手の選択に工夫をして、選手権試合を盛り上げるべきである。欲を言えば、腰投げのほかにもう一つ、柔道の技を応用した派手な決め手がほしい。

世界タッグは諏訪魔・石川組が、ようやく関本・岡林組からベルトを取り返した。正直、諏訪魔と石川はベルトを持っていなければ組んでいる意味がない。彼らがタッグを組んだとき、みんな、強い者同士が組み合ってずるいとさえ思ったのである。海内無双のあばれっぷりを見せてくれなければ困るのだ。

三冠ヘビーは宮原が野村を下した。野村の急成長には目を瞠るが、スタミナもスピードもファンの声援も、宮原にはまだ及ばないと思っていたから、これは順当な結果である。野村はもう一皮むけなければならないが、どのような方向に彼が変化するのか、ネクストリームを抜けた彼の今後の活動が注目される。

また青柳がチャンピオン・カーニバルで野村を追い抜いてやると言ったそうだが、ようやくエンジンがかかってきたか。以前、「邪魔をしてやる」などとせこいことを言っていたが、実力で野村を越えるつもりでなければ全日のヘビーは活性化しない。

英語読解のヒント(184)

184. no matter を使った譲歩 基本表現と解説 No matter how trifling the matter may be, don't leave it out. 「どれほど詰まらないことでも省かないでください」。no matter how ...