Thursday, December 29, 2022

ピーター・チェイニー「誰も見なかった男」

主人公はジョニー・バロン。シェンノート探偵社の探偵だ。彼は戦争で社長のシェンノートに命を助けられた。だから特別の気持ちをこめてこの会社で働いている。


たえず酒を飲み、煙草を吹かし、女にもてる。しかし観察力の鋭い、ハードボイルド派の探偵だ。

事件はシェンノートの死からはじまる。シェンノートは心臓が悪く医者からいつ死んでもおかしくないといわれていたのだが、ある日、事務所の自分の机につっぷして絶命しているのが見付かった。医者は心臓発作という診断を下したが、ジョニーは何者かが彼を脅し、それによって心臓発作が起きた、つまり他殺だと判断した。そしてシェンノートの妻の許可を得て、犯人の捜索に乗り出す。

どうやらシェンノート探偵社が扱っていたとある離婚事件がこの犯罪と関係があるようだった。それを探っていくと意外な人間関係と恐喝事件の存在が明らかになっていく。

作者のピーター・チェイニー(1896―1951)は映画化もされたレミー・コーションという探偵のシリーズがいちばんよく知られている。が、「ダーク・シリーズ」もなかなかいい。もっともこちらは一人のおなじ主人公がどの作品にも登場するというわけではなく、何名かの異なる人間が主人公となる。今回わたしが読んだのは後者のシリーズの一冊である。

1949年に書かれたこの作品にはおかしな魅力がある。存在しないものが、あたかも存在するかのように、ある効果を与える、というテーマが繰り返し顕れるのだ。まずジョニーは戦争中、腹部に銃弾を受け、手術で全摘するのだが、いまなおそれが残っているかのように奇妙な感覚・痛みを覚え、それを消すために酒を飲み続けなければならない。存在していないものが、彼の体になにがしかの効果を与える、という存在論的に非常に面白い現象が起きている。こういう現象はよく小説でお目にかかるけれど、本作ではこのような現象が何度も繰り返される。たとえばシェンノートの事件。シェンノートは医者によって心臓発作で死んだと診断された。しかしジョニーは、何者かがシェンノートに空砲を撃ち、そのショックで彼は死んだのだと考える。心臓発作で死んだと考えてもまったく問題はない情況なのだが、ジョニーはそこにある種のノイズを感じ取る。このノイズは科学的には存在しないといっていいのだろう。存在するという証拠はどこにもないのだから。しかしないはずの弾丸を、いまだに腹部に感じるジョニーは、事件に対しても存在していないなにかの存在を感じ取る。

さらに本書には不倫の証拠を偽造する商売が登場する。結婚相手にあきた男が、不倫の証拠を偽造してもらい、それを結婚相手の法律事務所に送りつける。それによって離婚の手続きをスムーズに、迅速に行わせるのである。妙な商売だが、それによって得をする人間もいるらしい。ここでわたしが注目したのはこういうことだ。不倫の事実はないのだが、この商売は不倫があったとおなじ効果を惹き起こさせる。原因はないけれど、結果だけが生じるという現象。「存在していないものの存在」というテーマの一貫性は顕著で、明らかに作者はなにかを考えようとしている。

本書にはほかにも考えるべき奇妙な特徴があるのだが、考えがまとまっていないからここには書かない。近いうちにまた読み返すことになるだろう。

Monday, December 26, 2022

J・J・コニントン「賭け金殺人事件」

コニントンは日本では識られていない作家だろう。ざっとでしかないがネットで検索しても翻訳された作品は見つからない。しかしパズラーとしてはなかなか優秀な人で面白い。

ブリッジの会に集まった九人の人間が競馬の賭けに共同投資する。言い出したのはブラックバーンという金持ちだ。一人十シリング出してくれ、もしも賭けに当たれば金は九人で等分する。うまくいけば一人二千ポンドくらいの金が貰える、というわけだ。そこで八人の男がその話に乗る。(最近、どこかの村人がおなじように共同投資し、見事にくじに当たり、一人数億という金を手に入れたという話が流れた)

彼らは運が良かった。賭けの結果、彼らは一人二千六百ポンドほどの大金を手に入れることになる。しかし問題が起きた。ブラックバーンが飛行機事故で死亡したのである。残された八人のうち強欲な(あるいは金に困っている)連中は、しめた、これで取り分が増える、とほくそえむ。が、そうは問屋は卸さない。ブラックバーンの財産処理をしている法律家が故人の取り分を要求してきたのである。

こうして問題は法廷に持ち込まれ、司法判断が下されるまで賭け金は支払いが延期されることになる。その頃だ。大金を手にするはずの八人のうちの一人が、奇観で有名な地元のとある場所で死亡しているのが発見される。もちろん事故死ということも十分に考えられたが、ひょっとすると取り分を増やそうとする誰かの仕業なのかもしれない。陪審は「事故死」と判断したけれども、さらに第二、第三の死者が出るに至り、警察は賭け金目当ての連続殺人を疑いはじめる。

これは手掛かりがすべて読者の前に示され、犯人当てを楽しませるような推理小説ではない。しかし犯人を追い詰める論証過程はじつに綿密で、そこがこの小説の迫力となり、面白さとなっている。セバーン警部の推理は終局的には間違っているのだが、しかしそれなりに周到で、説得力がある。ところが警部の推理の根幹にあるもの、真実性を疑わないある前提がくずれると、とたんに別の物語が立ち現れてくる。それが最後に示されるクリントン卿の議論だ。犯人がトリックを駆使してでっちあげようとしていた物語にセバーン警部はうっかりとのってしまったが、クリントン卿はその物語の小さな齟齬に気づいて、そこから物語のすべてを変貌させてしまう。このあざやかな手際が「掛け金殺人事件」の眼目である。

わたしはコニントンの作品をすべて読んだわけではないけれど、おそらく本作は彼の代表作の一つといっていいのではないだろうか。力のこもった秀作である。


Friday, December 23, 2022

ヴィクター・L・ホワイトチャーチ「テンプルトン殺人事件」

ホワイトチャーチは鉄道を扱った推理短編で識られているけれど、長編小説も面白い。Murder at the Pageant (1930) はオーストラリアのグーテンバーグが電子化していて無料で読める。なかなか楽しめる作品だ。ミステリではないけれど The Canon in Residence (1904) という初期の小説はユーモア小説としてしばしば名が挙がる。(わたし自身はそんなに面白いと思わないけど)今回読んだ「テンプルトン殺人事件」は1924年の作品で、推理長編として作者がはじめて書いた作品になる。


物語はマーシュ・キーという入江とすぐそばの村で展開する。あるとき入江の沖合に碇泊していたヨットのなかで、テンプルトンという男が殺害されているのが発見される。テンプルトンは素性のはっきりしない男で、アフリカで冒険をしていたが、最近イギリスに帰ってきたらしい。そして死の三週間前にヨットを借り、操舵手を雇い、マーシュ・キーにやってきた。この近辺に数人の知り合いがいて、彼らに会いに来たようである。誰が彼を殺したのかという点だけでなく、いったいテンプルトンは何者で、なぜ殺されたのかという点も捜査の進展と共にあきらかにされる。

面白い。Murder at the Pageant を読んだときとおなじ感興がよみがえった。とくに技巧をこらした作品ではない。たんたんと物語は進められているようなのだが、これが面白くて読み出すと止まらないのである。こういうのを無技巧の技巧というのだろうか。コルソンという刑事が敏腕を発揮して事件を捜査するのだが、じつはその奥さんがなかなか鋭い人で、刑事が家に帰って奥さんと事件の話をすると、奥さんが捜査のヒントを与えるという設定になっている。これがなかなかいい。わたしは気に入った。ただ宝石商としてユダヤ人が登場するのだが、この人の描写がかなり偏見に満ちている。作者は聖職者なのだが、反省もなく反ユダヤ主義的な描写を行うというのはどうしたことか。確かにこの宝石商のような人物がいることは事実だろうが、あまりにも戯画的な描写である。

欠点はあるにしても推理小説的な仕掛けをさまざまにほどこして読ませるし、犯人にも意外性がある。しかしいちばん印象的だったのはコルソンの奥さんのアドバイスである。刑事が操作に行き詰まったとき、彼女は当然と思われる想定をすべて否定し、まったくあらたな犯罪の物語を良人に考えさせようとする。そう、このような物語批判こそミステリの本質なのだ。

Tuesday, December 20, 2022

ヴェラ・ケルゼイ「殺人は小さな声で」

アメリカのクレイトンという学園町でとある夫婦者の死亡事故が起きる。エルウェイという名のホテル主任が妻とともに死んでいるのがある年の一月に発見されるのだ。その原因はガス中毒。単なる事故のように見えるが、これがいろいろとあやしい。

まず彼らが実際に死んだのは十日以上も前のことだ。夫も妻も他人との交際が絶無といってよく、異変に気がつく者がまったくなかったのである。夫が勤めていたホテルにも彼の個人データがないことがわかり、警察も唖然とする。

第二に夫が主任を務めるホテルが、死亡するほんの数日前に焼失している。しかもその一年前にも同じ系列のホテルが、まったく同じような原因で焼失している。じつはそれを怪しんだ保険会社が調査員を派遣していたくらいなのだ。

第三に、ガス事故は犬が吠えたてるので発覚したとされるが、通報を受けた警察がパトロールした際には、そのような吠え声は聞こえなかった。事故が起きたと思われるその当日の日、現場付近をたまたま通りかかった主人公ダン・カンバーランドは、犬の吠え声が聞こえるという女性にうながされて耳をすませたのだが、やはり犬の声など聞こえなかった。犬は本当に異臭に気づいて吠えたのか。そもそもその犬は実際にいたのか。犬の吠え声が聞こえるといった女性は、事件となにか関係があるのか。

死因審問では事故死の判断が下されたが、その直後に事件は急展開し、第二、第三の殺人が起きる。

主人公のダンはこの町で新聞を発行しているカンバーランドの息子である。年は三十代で、第二次大戦をバルカンで通信員として過ごした。行動力があり、親父が新聞社の社主ということもあって警察とも親しい。彼が中心となって事件の捜査が進んでいく。

物語の前半はエルウェイ夫婦の中毒死、および審問の様子が細かく描かれるが、後半になると物語のピッチが上がって読者を釘付けにする。事件の鍵を握る女性バーバラの振る舞いが少々不自然な印象を与えるが(いや、この小説に登場する女性はみなあまりにもメロドラマチックな振る舞いをするのだが)、最後にその理由が判明する。

この小説はいわゆるパズルものではない。探偵役のダンが事件関係者と強い関わりを持っていることからもそれはわかる。典型的なパズルものにおいて探偵は事件から微妙に距離を取っているものなのだ。

作者のヴェラ・ケルゼイはカナダ生まれのジャーナリストで、ダンと同じように通信員をしていたようだ。中国に渡ってその旅行記を書いたり、アメリカの雑誌にフリーランスとして記事を寄稿したり、ミステリーも数冊書いていた。参考までタイトルをいくつかあげておく。


The Owl Sang Three Times (1941)


Satan Has Six Fingers (1943)


The Bride Dined Alone (1943)


Fear Came First (1945)


Whisper Murder! (1946) 本作

Saturday, December 17, 2022

谷崎潤一郎「或る調書の一節」

信仰心というと、ほとんどの人は信仰する人の内奥にあるものと考えるが、ロベルト・プファーラーやスラヴォイ・ジジェクといった思想家が信仰の外在性について力強い理論を形づくりつつある。非常にわかりやすい例はチベットのマニ車だろう。あれは内部にお経の書かれた紙が入っていて、ドラム型の部分がくるくる回転していれば、本人がお経を唱えていなくても、お経をとなえたことになるというしろものである。ジジェクは「どんなに卑猥なことを考えていようとマニ車が回っていれば、本人はお経を唱えていたことになるのだ」とちょっと意地悪な言い方をしているが、しかしまさにそうなのだ。信仰はモノであるマニ車にまかせられる。マニ車が本人の代わりに信仰してくれる。そして本人自身は信心深いことを考えていなくてもいいのだ。プファーラーはこの信仰の外在化こそが危機としてとらえられ、宗教改革が起きるのだと考えている。

谷崎潤一郎の「或る調書の一節」もこの不思議な信仰の形を描いている。大工の頭が殺人の罪で捕らえられ、調書を取られる。その問答の過程で大工の「信仰の形」が明らかにされていく。それは取調官にはパラドキシカルに思われる「外在的な信仰」なのである。

できるかぎり端的にそこをまとめよう。大工は悪事や殺人がやめられない本物の悪党である。結婚してはいるが、家庭の外に女もたくさんつくっている。小股の切れ上がったいい女も囲ったりしているのだが、なぜかさえない女である本妻を捨てようとはしない。それどころか取り調べが進むうちに、彼が彼女を「必要」としていることがはっきりしてくる。なぜ必要なのか。大工は悪事を働くと、妻の前でおれはこんなことをしたと自慢話のようにその話をするのだが、すると妻はさめざめと泣いて、どうか改心してくださいと彼に懇願する。そのような存在が大工には絶対的に必要なのである。大工はこう言う。「私はつまり、自分の為めに泣いてくれる女が欲しかったのです。私が悪い事をすると、あとで女房はきっと泣きました、どうか真人間になって下さいと云ってしみ〴〵泣きました、それが私には悲しいような嬉しいような気持がしました」そこで取調官が「ではお前は、女房を泣かせるのが面白いのでわざと悪い事をしたのか」と問うと、「いゝえ、そうではありません。悪い事は矢張自分がしたくってしたのですが、あとで女房が泣いてくれるとそれでいくらか罪滅ぼしが出来るような気がしました。つまり女房が居てくれた方が悪い事がしよかったのです。だから私のような人間にはどうしてもあゝ云う女房が居なければいけないのです」と答える。

まさしく妻は大工にとってのマニ車であって、大工自身がどれだけ悪事を働こうとも、妻がくるくると回転してくれてさえいれば、彼は罪滅ぼしができるのだ。そして妻のおかげで罪滅ぼしができるから、なおさら悪事が働けるのである。ここで注目すべき点は二つある。大工は徹底した悪党だが、妻の存在が絶対的に必要なのだ。やや面倒な言い方をすると、大工にとって妻は非同一的なものだが、同時に同一的なものでもある。二つ目の注目点は、悪の道を邁進するためにこそ信仰が必要になる、あるいは、外在的な信仰こそが悪の道を邁進する原動力となる、という奇々怪々な構造だ。これは善悪という単純な二項対立をくつがえす考え方をわれわれに要求してくるだろう。

このような信仰の構造は、わたしが翻訳したマリー・コレーリの「悪魔の悲しみ」にも描かれている。詳しくはその後書きを読んでいただきたいと思うが、ヴィクトリア朝末期の男性どもがデカダンな生活にあけくれることができたのは、じつは「家庭の天使」がうちで彼らのために(彼らに代わって)祈りを捧げていたからなのである。

さらに一つ附け足しておく。大工がなぜ外在的な信仰を必要としているのか、その理由は、あの世を信じているからである。自分は悪党だからこの世では助からないが、あの世では助かりたい、というのだ。彼は人間は死によって消滅するのではなく、超越的な次元に於いて生を継続すると考えているのである。だから外在的な信仰がなんとしても必要なのだ。この考え方はやはり「悪魔の悲しみ」にも出てくる。わたしはここをもう少し理論的に詰めていきたいし、詰めていけると考えている。

谷崎はその変態性がよく取り沙汰されるけれど、しかしフロイトにいわせれば人間は根源的に変態であって、変態的なあり方が人間の本性なのである。谷崎を読む場合、その変態性はまさに人間の本質をつくものと、とらえ返す視点が必要になる。

Wednesday, December 14, 2022

独逸語大講座(3)

B

(dieser, jener, jeder, welcher)
Tor, n.gehen行く
Land, n.fürchten恐れる
Freund, m.achten尊敬する
Feind, m.gar nicht全然……しない
Frau, f.erstやっと
Arzt, m.医者morgen明日
Tag, m.日、昼heute今日
Morgen, m.zu と三格= [to]
Abend, m.wie ?[how]
heißen名乗る、呼ばれるfast[almost]

1. Ich zerstöre das Tor dieses Hauses. 2. Hier ist das Tor des Gartens. s. Dieser Mann ist der König dieses Landes. 4. Diese Frau ist die Mutter des Freundes. 5. Jener Kaiser zerstört das Haus des Königs. 6. Dieses Kind hier geht heute zum (zu dem) Arzt. 7. Er kennt den König dieses Landes sehr gut. 8. Er trinkt fast jeden Tag. 9. Jeder Garten gehört der Frau des Kaisers. 10. Jeden Morgen kommt sie in das Haus des Kaisers.

【訳】 1. 私は(ich)此の家の(dieses Hauses)門を(das Tor)破壊する (zerstöre) 2. 此所に(hier)庭園の(des Gartens)門が(das Tor)ある(ist) 3. 此の人は(dieser Mann)此の国の(dieses Landes)王で(der König)ある (ist) 4. 此の女は(diese Frau)友人の(des Freundes)母で(die Mutter)ある (ist) 5. 彼の皇帝は(Jener Kaiser)王の(des Königs)家を(das Haus)破壊 する(zerstört) 6. 此所にいる(hier)此の子供は(dieses Kind)今日(heute) 医者の所へ(zum Arzt)行く(geht) 7. 彼は(er)此の国の(dieses Landes王) を(den König)大変(sehr)よく(gut)知っている(kennt) 8. 彼は(er)殆ん ど(fast)毎日(jeden Tag)飲む(trinkt) 9. すべての庭園は(jeder Garten) 皇妃に(der Frau des Kaisers)属する(gehört) 10. 毎朝(jeden Morgen)彼 女は(sie)皇帝の(des Kaisers)家へ(in das Haus)来る(kommt)

11. Der Freund dieses Mannes kennt dieses Land nicht. 12. Der Arzt ist heute nicht zu Hause. 13. Die Mutter geht erst heute zu jenem Freunde. 14. Der Feind zerstört fast jede Stadt. 15. Ihr seid noch in der Stadt des Feindes. 16. Wie heißt der Arzt der Königin? 17. Heißt dieses Kind Georg oder Fritz? 18. Der Feind kommt in jedes Haus. 19. Die Mutter kennt dieses Kind fast nicht mehr. 20. Dieser Mann lacht, aber jener Mann weint.

【訳】 11. 此の人の(dieses Mannes)友人は(der Freund)此の国を (dieses Land)知ら(kennt)ない(nicht) 12. 医者は(der Arzt)今日(heute)不在 (nicht zu Hause)です(ist) 13. 母は(die Mutter)今日やっと(erst heute)彼 の友人の所へ(zu jenem Freunde)行く(geht) 14. 敵は(der Feind)殆んど (fast)すべての市を(jede Stadt)破壊する(zerstört) 15. 汝等は(ihr)まだ (noch)敵の(des Feindes)市に(in der Stadt)いる(seid) 16. 王妃の(der Königin)医者は(der Arzt)何と(wie)名乗るか(heißt) 17. 此の子供は (dieses Kind)ゲオルク(Georg)或は(oder)フリッツ(Fritz)(いづれに)名乗る か(heißt) 18. 敵は(der Feind)すべての家へ(in jedes Haus)来る(kommt) 19. 母は(die Mutter)此の子供を(dieses Kind)殆んど(fast)〔最早〕(nicht mehr)知ら(kennt)〔ない〕 20. 此の人は(dieser Mann)笑う(lacht)併しな がら(aber)彼の人は(jener Mann)泣く(weint)

21. Die Frau kommt jetzt in die Stadt des Feindes. 22. Welche Stadt sucht dieser Mann hier? 23. Trinkt dieses Kind Tee, Kaffee, Bier, oder Wein? 24. Jedes Kind liebt den Vater und die Mutter. 25. Kommt jenes Kind schon heute oder erst morgen? 26. Ich bin das Kind jenes Mannes. 27. Jeder Feind achtet und fürchtet den Kaiser. 28. Welches Haus lobt die Freundin dieses Mannes? 29. Jeder geht heute zum König. 30. Im Hause jenes Freundes spielt das Kind dieser Frau.

21. 女は(die Frau)今や(jetzt)敵の(des Feindes)市へ(in die Stadt)来る(kommt) 22. 此所にいる(hier)此の人は(dieser Mann)どの市 を(welche Stadt)探しているか(sucht) 23. 此の子供は(dieses Kind)お茶 (Tee)コーヒー(Kaffee)ビール(Bier)或は(oder)葡萄酒(Wein)〔いづれを〕 飲むか(trinkt) 24. すべての子供は(jedes Kind)父(den Vater)と(und)母 とを(die Mutter)或は(liebt) 25. 彼の子供は(jenes Kind)今日既に は(schon heute)或は(oder)明日やっと(erst morgen)来ますか(kommt) 26. 私 は(ich)あの人の(jenes Mannes)子供で(das Kind)あります(bin) 27. す べての敵が(jeder Feind)皇帝を(den Kaiser)尊敬し(achtet)そして(und)恐 れる(fürchtet) 28. どの家を(welches Haus)この人の(dieses Mannes)女友 達が(die Freundin)褒めますか(lobt) 29. 凡ての人が(jeder)今日(heute) 王様の所へ(zum König)行く(geht) 30. あの友人の(jenes Freundes)家に (im Hause)此の女の(dieser Frau)子供が(das Kind)遊んでいる(spielt)

31. Das Kind fürchtet die Mutter gar nicht. 32. Der Garten dieser Frau liegt in dieser Stadt. 33. Gehen Sie in diese Stadt oder in jene Stadt? 34. Verteidigt er oder verteidigt er nicht den Kaiser? 35. Welcher König verteidigt dieses Land? 36. Wir gehen morgen in die Stadt und trinken Kaffee. 37. Ihr seid heute oder morgen in der Stadt. 38. Ich begegne dem Freunde dieser Frau nicht mehr. 39. Wir sind noch nicht im Hause des Onkels. 40. Welche Frau ist die Königin dieses Landes ?

【訳】31. 子供は(das Kind)母を(die Mutter)〔全然〕(gar nicht)恐れ (fürchtet)〔ない〕 32. 此の女の庭園は(der Garten dieser Frau)此の市に(in dieser Stadt)ある(liegt) 33. あなたは(Sie)此の市へ(in diese Stadt)又は (oder)彼の市へ(in jene Stadt)〔いづれへ〕行きますか(gehen) 34. 彼は (er)皇帝を(den Kaiser)守るか(verteidigt)或は(oder)守ら(verteidigt)ないか (nicht) 35. どの王が(welcher König)此の国を(dieses Land)守るか(verteidigt) 36. 我々は(wir)明日(morgen)市へ(in die Stadt)行き(gehen)そして (und)コーヒーを(Kaffee)飲む(trinken) 37. 汝等は(ihr)今日(heute)或は (oder)明日(morgen)市に(in der Stadt)いる(seid)〔町に着く〕 38. 私は(ich) 此の女の友人に(dem Freunde dieser Frau)〔最早〕(nicht mehr)逢わ(begegne) 〔ない〕 39. 我々は(Wir)未だ(noch nicht)叔父の(des Onkels)家に(im Hause)い(sind)〔ない〕 40. どの婦人が(welche Frau)此の国の女王で(die Königin dieses Landes)あるか(ist)

41. Dieser Garten gehört jetzt der Königin dieser Stadt. 42. Der Arzt geht heute in das Haus des Kaisers. 43. Jeder Feind fürchtet den König jenes Landes. 44. Die Frau dieses Mannes geht zum Tore des Gartens. 45. Jener Garten gehört dem Könige dieses Landes. 46. Heute begegnet jeder Mann dem Kaiser des Landes. 47. Jedermann liebt und lobt den Garten des Freundes. 48. Wie heißt der Freund dieser Frau? 49. Wie heißt die Freundin jenes Mannes? 50. Wo liegt die Stadt des Feindes? 51. Ich gehe heute Morgen zur Station.

41. 此の庭園は(dieser Garten)今は(jetzt)此の市の女王に(der Königin dieser Stadt)属する(gehört) 42. 医者は(der Arzt)今日(heute)皇 帝の(des Kaisers)家へ(in das Haus)行く(geht) 43. すべての敵が(jeder Feind)彼の国の王を(den König jenes Landes)恐れる(fürchtet) 44. この男 の妻が(die Frau dieses Mannes)庭園の(des Gartens)門へ(zum Tore)行く (geht) 45. あの庭園は(jener Garten)此の国の王に(dem Könige dieses Landes) 属する(gehört) 46. 今日(heute)すべての人が(jeder Mann)国の皇帝に (dein Kaiser des Landes)逢う(begegnet) 47. すべての人が(jedermann)註1友人 の庭園を(den Garten des Freundes)愛し(liebt)そして(und)褒める(lobt) 48. 此の女の友人は(der Freund dieser Frau)何と(wie)名乗るか(heißt) 49. あの男の女友達は(die Freundin jenes Mannes)何と(wie)名乗るか (heißt) 50. 何所に(wo)敵の市は(die Stadt des Feindes)あるか(liegt) 51. 私は(ich)今朝(heute Morgen)註2ステーションへ(zur Station)行く (gehe)

【註】〔1〕 名詞的に用いたるものにして、jeder = mann と同じ。
〔2〕 時の副詞には、名詞の二格及び四格を用いる事がよくある。例えば、eines Tages, des Morgens, diesen Abend, den ganzen Tag. 等
〔3〕 im = in dem, zur = zu der.

Sunday, December 11, 2022

英語読解のヒント(37)

37. 譲歩の形 (2) 「副詞 + as / though + 主語 + 述語」

基本表現と解説
  • Little though he said about it, Pat really did care for her. 「口にはしなかったけれど、パットはほんとうは彼女のことを気にかけていた」

前項では名詞が先頭にきたが、今回は副詞が先頭に来るパターンである。

例文1

But, little as he said, his whole face beamed with pride and pleasure.

Maria Dinah Craik, John Halifax, Gentleman

が、多くは語らなかったものの、彼の顔は誇りと喜びで輝いた。

例文2

No doubt, much as worthy friends add to the happiness and value of life, we must in the main depend on ourselves, and every one is his own best friend or worst enemy.

John Lubbock, The Pleasure of Life

言うまでもなく、善き友は人生の幸せと価値を高めるものであるが、もっとも頼るべきは自分自身である。だから人はみなおのれの最高の友ともなり、最悪の敵ともなるのである。

例文3

There is nothing in any of the northern countries with which to compare the richness of tropical growth; and lovely as are the tints in a broad American landscape, they are as nothing in point of splendor to those of the tropical scene.

Charles Joseph Barnes, New National Fifth Reader

北の国々はどこも熱帯地方の植生の豊かさに比較できるものを持たない。雄大な米国山野の色彩はいかにも美しいが、輝かしさという点において熱帯地方の色彩とはくらべものにならない。

 as 以下の主語が長くなる場合、倒置が生じて述語が前に来ることがある。

Thursday, December 8, 2022

英語読解のヒント(36)

36. 譲歩の形 (1) 「名詞 + as / though + 主語 + 述語」

基本表現と解説
  • Physician as he was, he was quite at a loss what to do. 「彼は医者であったが、どうしてよいかまったくわからなかった」

as の代わりに though を用いることもある。また、この形の名詞には冠詞がつかない点に注意。

例文1

Lawyer as he was to the very marrow of his bones, I startled him out of his professional composure.

Wilkie Collins, The Woman in White

彼は骨の髄まで法律家であったが、わたしは彼を驚かし、その職業的沈着さを失わしめた。

例文2

Marius, dreamer though he was, possessed a firm and energetic nature.

Vicotor Hugo, Les Misérables (translated by Lascelles Wraxall)

マリウスは空想家ではあったが、意志が固くて精力的な性格だった。

例文3

Following the line of his outstretched hand, my eyes fell upon a sight that made me jump, old hunter as I was even in those days.

H. R. Haggard, "The Hunter Quatermain's Story"

彼が指さす方向をたどると、わたしは驚きのあまり飛び上がるようなものを見た。わたしは当時すでに古参の猟師であったのだけれど。

Monday, December 5, 2022

英語読解のヒント(35)

35. 現在分詞 / 過去分詞 + as it was / as it did

基本表現と解説
  • Coming out, as it did, at such a time, his work attracted much attention.「実際、そのような時期に出版されたため、彼の著書は大いに耳目を集めた」

as it did は直前の動詞を反覆し(as it came out)文意を強めたもの。Coming out at such a time, his work attracted much attention. といっても意味はおなじ。同様に

  • Published, as it was, at such a time, his work attracted much attention.

は Published at such a time, his work attracted much attention. とおなじ。

注意:過去分詞が先行する場合は理由・譲歩を示す副詞句になることもある。§39. 参照。

例文1

Opening, too, as we do, an asylum for strangers every portion of the earth, we should receive all with impartiality.

Washington Irving, The Sketch Book of Geoffrey Crayon, Gent.

またわれわれは実際世界各国から逃れてくる人のために避難所を開いているのだから、すべての人々を公平に迎えなければならない。

例文2

Living as she had done, in the midst of the teeming plenty of a fruitful earth, she did not seem to be able to grasp the fact that there were millions who from day to day know not how to stay their hunger.

H. Rider Haggard, Allan's Wife

いままで実り豊かな地上の、あふれんばかりの恵みのなかで暮らしてきた彼女には、日々どうやって飢えを凌げばよいのか、わからない人々が何百万人もいるという事実が理解できないようだった。

例文3

Married men bully their wives, grumble at the dinner, and insist on the children's going to bed. All of which, creating, as it does, a good deal of disturbance in the house, must be a great relief to the feelings of a man in the blues, rows being the only form of amusement in which he can take any interest.

Jerome K. Jerome, The Idle Thought of an Idle Fellow

結婚している男は妻をいじめ、夕食に文句を言い、子供を早く寝かしつけろと言い張る。これらはみな、実際、うちのなかに大騒動を引きおこすので、むしゃくしゃしている人には大いに気晴らしになるにちがいない。というのも、彼が唯一興味を感じられる娯楽、それは喧嘩だからである。

Friday, December 2, 2022

英語読解のヒント(34)

34. as if / as though (3)

基本表現と解説
  • He looks as pale as if he was sick.

仮定法では was ではなく、were を用いるのが普通だが、特に口語体では was が使われることも多い。

例文1

 "Do you know where he has come from?"
 "No, mum; but I think he's kind of a foreign gent. But he's very ill and looks as if he was going to die."

J. E. Muddock, Stories, weird and wonderful

 「その方、どこから来たのかご存じ?」
 「いいえ。ですが外国の方のように思います。ただたいそうお加減が悪く、今にも死にそうなご様子でして」

例文2

 "You will have to sell it to a mug (flat) then," said one.
 I laughed as though I was quite prepared to do that, and thoroughly understood my business.

Joyce Emmerson Preston Muddock, "The Pearl Necklace"

 「どっかのぼんくらにでも売りつけるんだな」と一人が言った。
 わたしは笑った。そうするつもりだし、その手の手口も知りぬいている、とでもいうように。

 mug はスラングなのでわかりやすく flat 「まぬけ」の意味であると括弧内に示してある。

例文3

All at once a voice which was the more sinister because no one could be seen, and it seemed as if the darkness was speaking, shouted, "Who goes there?"

Vicotor Hugo, Les Misérables (translated by Lascelles Wraxall)

突然「そこにいるのは誰だ」という声がした。人の姿が見えず、まるで暗闇が発したかのように思われたものだから、その声はいっそう薄気味悪く聞こえた。

英語読解のヒント(145)

145. 付帯状況の with 基本表現と解説 He was sitting, book in hand, at an open window. 「彼は本を手にして開いた窓際に座っていた」 book in hand は with a book in his hand の...