Tuesday, July 30, 2019

COLLECTION OF ENGLISH IDIOMS

早稲田大學敎授 深澤裕次郎著
應用英文解釋法
東京英文週報社發行

(p. 47-50)

範例
(a) I must tell him at once.
(b) I must tell him, and tell him at once.
(c) I must tell him, and that at once.
(a) 私は直ぐに彼に語らねばならぬ。
(b) 私は彼に語らねばならぬ、直ぐに語らねばならぬ。
(c) 私は彼に語らねばならぬ、而も直ぐに。

解説
 (b) (c) は (a) の強き形にして (b) の and tell him の前の Clause の tell him を強めむが爲に and を用ひて之を反復せるもの、(c) and that の that は tell him の代りに用ひたるものなり。故に斯の如き構文に於ける and that の that は前の Clause 又はその Clause 中の Predicate の全部又は一部を代表するものなり。從て that は Pro-clause 又は Pro-phrase と稱することを得。
 and that は「其上」「加之」「而も」など譯す。
 類例
 (i) I must tell him, and at once too.
      私は彼に語らねばならぬ、而も直ぐに。
 (ii) So I started on my hands and knees, because I could go faster that way, and with more confidence too, and not knock down things.  Mark Twain
   そこでわしは前よりも強い地震を以て、そして物を落さずに四つ這ひになつて出掛けた。が實はこの方が早く歩けるからだ。
 (iii) "You are modest," said the duchess: "but I have certainly heard, and on good authority too, that you are about to be married."  M. Clay
   公爵夫人は云ふ「貴下は謙遜して居らつしやいますが、近日御結婚と云ふことを確に伺ひましたよ、而も確かな筋から」。

用例
(a)
1.  God shall help her, and that right early.
    Psalm XLVI
    神は彼を助け給はん、而も早朝に。
2.  He swallowed a stone and that a big stone.
    Rowe and Webb
    彼は石を呑んだ、而も大なる石を。
3.  He said little, and that moodily, and with evident effort.
    E. A. Poe
    彼は少しゝか語らなかつた、而も怏々として明かに努力して語つた。
4.  I studied Greek and Latin when I was young, and that at Oxford.
    J. C. Nesfield
    私は若い時に希臘語と羅典語を學んだが、それは牛津大學にてゞある。
5.  He is now eleven and yet can do nothing but read, and that very poorly.
    N. N. R. III
    彼は今十一歳であるが、讀む事の外、而も極めて拙く讀むことの外、何事も出來ない。
6.  You have it in your own power greatly to reduce the taxes, and that without in any way appealing to us.
    S. Smiles
    大に租税を減ずること、而も我々に訴へずしてさうする事は汝の出來る事である。
7.  "I must find a place of concealment," he thought, "and that within the next few seconds, or all is over with me in this world."
    R. L. Stevenson
    彼心に思ふやう「私は隱れ場所を見付けねばならない、而ももう二三秒の内に見付けねばならない、さうしないとこの世に於ては萬事終れりである」。
  all is over「萬事休す」over の代りに up を用ふるも同じ。
8.  They spoke little, and that in whispers, and were as silent and awe-stricken as if the remains of the murdered woman lay in the next room.
    C. Dickens
    彼等は少しゝか語らなかつた、而も小聲で語つたのである、そして殺された女の死骸が隣の室にあるかと思はれるほど靜まり返つて震へて居た。
  remains 遺體(複数形を用ふるを記憶せよ)。
9.  While I was wondering -- and that with no little uneasiness -- what on earth they could be doing there, suddenly I heard a wild cry to the right and left of me.
    H. R. Haggard
    一體、奴等は何をして居るのかと訝んで……而も少なからぬ不安を以て……居た時、私の右と左に當つて凄い叫び聲が聞えた。
10. Ere long, I became aware that some one was handling me; lifting me up and supporting me in a sitting posture, and that more tenderly than I had ever been raised or upheld before.
    C. Bronte
    間もなく私は誰か私をいぢつて居ることを知つた、私を抱き上げてすわらせて居るのを知つた、而も今までに抱き上げられたり支へられたりしたよりはずつと優しくさうされるのを知つた。

(b)

1.  It has come, and it has come to stay, whether we wish it or not.
    T. Roosevelt
    吾人がそれを希望すると否とに拘らず、それは果してやつて來た、而もやつて來て容易に去らない。
2.  It has been observed, and very truly observed, that men used to lay out a one-pound note when they would not lay out a sovereign.
    W. Cobbett
    人間と云ふものは同じ十圓でも金貨なら使はない場合に紙幣なら使ふものだと昔から云はれて居るがこれは眞理だ。
3.  Yet there was a small house, backed up against the cemetry wall, which was still awake, and awake to evil purpose, in that snoring district.
    R. L. Stevenson
    けれども墓地の塀に寄せて造られた一つの小さい家屋があつて、其家は今猶ほ覺めて居た、而も四隣は轟々と鼾をかいて眠つて居るのに其家だけは眼さめて惡事をたぐんで居たのである。
4.  A habit of silence in conversation is pleasing and wins a applause when it is known that the silent one could talk, and talk to the purpose, if he choose.
    三六東京高工
  談話の際沈默を守は善き事なり、而て默すれども語らむとせば語る事を得、而も剴切に語り得と知らるゝ時は人の賞讚を得るものなり。
  to the purpose 剴切に
5.  "Do you suppose that she had money of her own?"
    "Very little, if any, sir. It was said, and said truly, I am afraid, that her means of living came privately from Sir Percival Glyde."
    W. Collins
    「あなたはこの女が自分の金を持つて居たと思ひますか」。
  「持て居ても極少かです、何でも彼の女の生活費は内々サーパーシヴルの所から來るのだと云ふことですが、それは實際です」。
6.  Whoever it might be, he went down, and went down hard, and the Italian watched, and improved his mind, and began to think that this country had its advantages as well as its disadvantages.
    J. M. Bailey
    誰彼の差別なく轉ぶ、轉べば必ずひどく轉ぶ、而て豆やは之を見て英語を覺え、其上この亞米利加と云ふ所にも善い事も有る代りに惡い事も有るなと云ふ事を悟り始めた。
  improved his mind 語學の終業を爲したりとの意。as well as 並に。

Saturday, July 27, 2019

日本に一冊?

アメリカには Valancourt Books という小さな出版社がある。ホラー小説、ゴシック小説、LGBT 小説などを出している。しかし特徴的なのは、それらが「忘れられた作品」であるという点だ。よい作品であるのに、なぜか絶版になっている本、そんな作品を積極的に探し出してきて出版している。ここから出ている本は Internet Archive でも見つからないことがよくある。そのせいだろう、マニアックな一部の読書家の間では Valancourt Books の名はよく知られている。

日本にも珍しい本はたくさんある。が、それを積極的に出すような出版社はない。儲かるか否かが、彼らの出版の基準だからだ。希少性を儲けにつなげる創意工夫も持ち合わせがない。

さて、わたしが新版を出して欲しいと思う作品をいくつか挙げてみる。

大町桂月の「西遊記」。これは山ほどある西遊記の翻訳の中でも最高の一冊だと思う。文語文だが、その生きのよさはピカイチである。桂月の全集はあるのだが、なぜか翻訳はその中に含まれていない。日本文学に於いて翻訳は非常に大きな意味を持っている。現代文を形成する過程に於いて果たした翻訳文の役割はおそろしく大きいのに、文学者の全集から翻訳を省いてしまうと云うのは出版社の見識のなさを露呈している。桂月の「西遊記」は大学の図書館にも見当たらないようだし、国会図書館にあるのが日本に存在する唯一の本、世界でたった一冊しかない本ということになるのだろうか。

佐々木邦の翻訳作品。佐々木邦も全集か選集が出ているが、そこからは翻訳作品が省かれている。だが、佐々木の文章や作風は英米文学からの影響が大であり、翻訳作品は彼が外国文学からなにを、いかに学んだかを知る大切な資料となる。是非とも復刊して欲しいものだ。佐々木の翻訳もおそらく国会図書館にあるのが世界に存在する唯一の本ではないか。

小杉天外の「長者星」。これは明治時代に書かれた経済小説で、わたしは昔から読みたいと思っていたがのだが、どこの図書館にも本がなくて、困っていた本だ。国会図書館のデジタルライブラリーではじめて読むことができた。傑作ではないけれども、よく調査がなされた力作ではある。

永井荷風の「女優ナナ」。荷風がゾラに心酔していたことはよく知られている。それがいつの間に「墨東綺譚」のような軽妙でとらえどころのない作品を書くようになったのか、わたしにはなんとも不思議でならない。それはともかく、「女優ナナ」は文語文で書かれた翻訳文学の傑作である。これが傑作でないなら、鴎外の「即興詩人」だって傑作ではない。それくらい味読すべき作品だ。ただしこれは全集に含まれていることもあるので、入手しやすい。

恐らく日本に一冊しかないであろう本がこんなにあると、完全に失われてしまった本は何冊あるのだろうと暗澹となる。無名作家の無名の作品ならいざしらず、桂月も佐々木も小杉もそれなりに地歩を確立した作家達である。

Thursday, July 25, 2019

Yoga Book C930

今年は大画面の e-reader を買おうと思っていたのだが、Boyue がかなり強力なスペックの Likebook というシリーズを出したり、それに対抗してなのか、Onyx がやはりスペックをあげた新製品を出し、どれにしようかと迷っている。

さらに Lenovo が Yoga Book というのを出したらしい。この機種の発売は、たいていの人にとっては旧聞に属するだろうが、タブレットにさほど関心のないわたしは最近知った。

これはウィンドズのタブレットと e-ink のタブレットを合体させた製品である。両者はヒンジでつながっており、普通のノートパソコンのように開くことが出来る。さらに e-ink 側はキーボードを表示することが出来るので、これでウィンドウズ側に文字を入力することも可能だ。もっとも完全にフラットなキーボードなので、打ちやすいとはいえないだろう。

この機種のよいところはまず軽い。ウィンドウズのタブレットと e-ink のタブレットを合わせて800グラムぐらいである。10.8インチのタブレット二枚の重さとしては相当に軽いと思う。

さらにプロセッサーに core i5 が選べるので、かなり強力なスペックである。e-ink のタブレットは非力なマシンが多いのだが、pdf を読むときはそこそこの馬力がないと複雑なものや大部のものは表示に時間がかかることがある。ある種のものは、まったく開けず、画面がフリーズすることさえある。しかし core i のシリーズが使えるなら、問題はないだろう。

問題は e-ink 側のタブレットは pdf しか読めないという点だ。epub などの形式はサポートされていない。これでは残念ながら買う気がしない。わたしが読むのは pdf と epub が半々くらいだからだ。もしも読めるようになったら、そして価格が十万円を切るようになったら、さっそく買いに行くのだけれど。

Tuesday, July 23, 2019

「青春と泥濘」

いちばん最初の挿話、「塩分の価値」を読んだとき、これは有名な三部作とは根本的に質が違うなと思った。これはインパールのジャングルに屯営する一個中隊の物語である。糧食の輸送が困難なため、彼らはいつも定量の六分の一しか食事が与えられない。

あるとき命令受領の上等兵がこんな話をした。輜重隊の軍馬は塩が欠乏して腰が抜けている。ところが馬は人間より賢い。行軍の際、彼らは尻尾をさかんに振って、身体の汗を尻尾に含ませる。その尻尾を後ろからついてくる馬が舐める。こうやって塩不足を補っているのだそうだ、と。

それを聞いて中隊のメンバーは、敵機の攻撃の合間を縫って跳んだり跳ねたりしきりに身体を動かし、汗をかくことにした。そして伍長の号令「しゃぶりかた、始め」とともに、自分の腕や身体に浮き出た汗を舐め始めるのである。

これは悲惨を通り越して滑稽ですらある。わたしは兵隊の日常のグロテスクさ、馬鹿馬鹿しさを見事に表現していると、読みながら感心した。

火野葦平は兵隊三部作ばかり賞賛され、読まれているようだが、「青春と泥濘」もそれらに劣らない傑作である。いや、こっちのほうが日本軍賛美の意図がなく、兵隊の生の感情をもっと忠実に描いている。

Sunday, July 21, 2019

A.キアリナ・コルデラ

最近読んだアカデミックな著作の中で、いちばん秀逸だったのはこのコルデラという人が書いた Surplus: Spinoza, Lacan という本だ。ラカンとスピノザの関係、とりわけスピノザの無限の概念からラカンの剰余の概念を説明していく手際はあざやかで、コンパクトにまとまっている。ジジェクなどはスピノザをラカンと相容れないと考えているようだが、そうではないということを見事を示してくれた。さらにマルクスの剰余概念にも議論は及び、わたしは大いに蒙を啓かれた。先月、岩井克人の「貨幣論」を読んで、まるでだめだと思ったが、コルデラの議論にははたと膝を打った。

コルデラはもともとはスピノザの研究者なのだろうか。ずいぶん大部の専門書を出しているようだ。しかしラカンに対する切り口は鋭く、明晰で、アレンカ・ズパンチッチにも負けないくらい知的な起爆力を持った議論を展開する。今年は彼女の本を探し出して、じっくり腰を据えて読もうと思っている。

Friday, July 19, 2019

COLLECTION OF ENGLISH IDIOMS

早稲田大學敎授 深澤裕次郎著
應用英文解釋法
東京英文週報社發行

(p. 45-47)

範例
She enumerated books, pictures, rings, jewels, and so on (forth).
彼の女は着物、繪畫、指環、寶石等を列擧せり。

解説
And so on
And so forth
    = And others; and the rest;
      and more besides; and the
      like; and such-like
      ……等、……など。
And so on, and so forth は事物を列擧し來りて自餘のものを省略するに用ひ、通常 Latin 語 et cetera の略なる etc. 若くは &c. は and so forth と讀む。
on, forth は onward, forward(先に、前に)の意也。

用例
1.  They will embrace professions, be writers, lawyers, artists, doctors, professors, and so on.
    Max O'Rell
    彼等は職業に就き、文士、辯護士、藝術家、醫者、教授等になる。
2.  This passage was to have a great influence with the rich merchants, this one, with the clergy, and so on.
    J. T. Fields
    此條は大に豪商共に感動を與へる積りである、又此句は僧侶社會を動かすのである、などと話して居た。
  this one の次に was to have a great influence with. を補ひて解す可し。
3.  One man fears the loss of his fortune; another that of his position; a third the death of some member of his family, and so on.
    Dr. Albert Moll
    甲の人は財産の損失、乙は地位の損失、丙は家族中の何人かの死亡をおそれ抔する。
  another と a third の次には fears を略せり。that は the loss を指す。
4.  Upon the board at his feet they [= eyes] rest for a moment, and then glide to the next board, and so on, until his coward eyes covered a considerable portion of the floor.
  彼の視線は先づ一瞬の間足元の床板一枚に落ち、それから次の板に移り又次に移ると云ふ次第で遂に其視線は床の大部を蔽うに至つた。

Wednesday, July 17, 2019

安倍やめろ

安倍首相が街頭で選挙演説の最中、一般人が「安倍やめろ」と叫んだら、さっそく警察がその女性を取り囲み、排除したという。

安倍は以前、街頭演説でやじり倒されてから、演説の時と場所を公表しなくなったが、それだけでは足りず、警察を使ってやじを飛ばす一般人を排除するようにすらなった。

この男の器の小ささと知性のなさはあきれるばかりだが、世の中もどうかしている。

先日、トランプ大統領が演説の中で、アメリカが気に食わないなら出ていけと言ったとき、猛烈な勢いで聴衆の女性がかみついたが、あの女性をトランプが警察官に排除させたりしたら、轟轟の非難が沸き起こっただろう。全米でデモが起きただろう。日本人はことの善悪もわからない、デモをする勇気もない人々なのか。

わたしははっきり言う。安倍やめろ。

Monday, July 15, 2019

オートミールと立ちくらみ

業務スーパーでオートミールが安く買えることを知り、もう四カ月か五カ月ほどオートミールを食べる生活をつづけている。

この簡にどんな身体の変化があったかというと……まず気がつくのは、立ちくらみをしなくなった。去年の夏頃までは、長い時間デスクワークをし、立ち上がろうとするとふらっと目眩がしたものだ。それがいまはない。

一時的な現象なのか、もう少し時間が立たないとわからないが、もしもオートミールに食事を切り替えたせいだとしたら、それはオートに含まれる鉄分のおかげだろう。調理が簡単なため、一日に二食も三食も食べることがあるが、それでかなりの鉄分を補給しているはずだ。鉄分はもちろん血をつくるために必要な栄養素である。だいたいオートミール百グラムで男性にとって必要な鉄分量7mgを摂取することができる。

もうしばらく様子を見て立ちくらみがなくなったようなら再度ここで報告したい。

Saturday, July 13, 2019

女性によるミステリ

サンデー・タイムズがつい先日「1945年以降に発行された犯罪・スパイ小説百選」というリストを発表したのだが、そこには女性作家が二十八人しか含まれていなかった。この意識的・無意識的差別に対してガーディアンは現在活躍中の女流ミステリ作家に、女流による重要なミステリ作品を五十作あげてもらった。たいへん興味深い。

わたしはミステリ・スリラーといったジャンルは女性作家の書くもののほうが圧倒的に面白いと思っている。以前、本邦未訳ミステリを百冊読んでブログに感想を書いたが、そのときいちばん印象深かった作品はエセル・リナ・ホワイトの Fear Stalks the Village だった。あれは悪と善の複雑な関係を示して圧巻だった。いつか訳そうと思っているくらいだ。わたしはメアリ・ブラッドンの「オードリー夫人の秘密」を訳したことがあるが、それの現代版ともいえるヴェラ・カスパリの「ベデリア」も強い印象を残した。最近もマーガレット・ミラーの「狙った獣」やパトリシア・ハイスミスの短編を読み返し、その鋭い洞察力と心理的なサスペンスに感心した。

それはともかくガーディアンに載せられた女性作家による重要なミステリ五十作を紹介しておこう。

Summertime by Liz Rigbey
The Spider’s House by Sarah Diamond
Hidden by Katy Gardner
Searching for Shona by Margaret Jean Anderson
The Franchise Affair by Josephine Tey
Rubbernecker by Belinda Bauer
The Field of Blood by Denise Mina
A Fatal Inversion by Barbara Vine
When Will There Be Good News? by Kate Atkinson
Little Deaths by Emma Flint

The Dry by Jane Harper
Devices and Desires by PD James
The End of the Wasp Season by Denise Mina
Fire Sale by Sara Paretsky
Gone by Mo Hayder
Gentlemen and Players by Joanne Harris
The Shining Girls by Lauren Beukes
The Wicked Girls by Alex Marwood
Apple Tree Yard by Louise Doughty
A Place of Execution by Val McDermid

The Crossing Places by Elly Griffiths
The Ice House by Minette Walters
The Liar’s Girl by Catherine Ryan Howard
This Night’s Foul Work by Fred Vargas
R in the Month by Nancy Spain
The Daughter of Time by Josephine Tey
The Detective’s Daughter by Lesley Thomson
A Place of Execution by Val McDermid
He Said, She Said by Erin Kelly
Sharp Objects by Gillian Flynn

Dangerous Lady by Martina Cole
The Mermaids Singing by Val McDermid
Indemnity Only by Sara Paretsky
The St Cyr series by CS Harris
No Night Is Too Long by Barbara Vine
Broken Harbour by Tana French
Chosen by Lesley Glaister
A Savage Hunger by Claire McGowan
The Cry by Helen Fitzgerald
The Hours Before Dawn by Celia Fremlin

The Hours Before Dawn by Celia Fremlin
Cruel Acts by Jane Casey
Sex Crimes by Jenefer Shute
Skin Deep by Liz Nugent
Cuckoo by Julia Crouch
The Murder of Roger Ackroyd by Agatha Christie
The Two Faces of January by Patricia Highsmith
Alias Grace by Margaret Atwood
Little Face by Sophie Hannah
Alys, Always by Harriet Lane

これは非常にありがたいリストだ。読んでない本が沢山含まれているから。女性ミステリ作家に興味があるなら Furrowed Middlebrow というサイトも参照してほしい。1910年から1960年のあいだに活躍したイギリス、アイルランド、そしてアメリカの、あまり知られていない女性ミステリ作家を集めている貴重なサイトである。

Thursday, July 11, 2019

精神分析の今を知るために(6)

われわれのファンタジーそのものがわれわれにとっては異質なものでありうるのである。それらは言語によって構成され、限りなく漸近線的にわれわれに接近するにすぎないからだ。われわれのファンタジーは、実は他人のファンタジーが移植されたものなのかもしれない。自分のファンタジーが母や父のファンタジーであることに気づくこともあるだろう。いつの間にそんなものが自分の頭に宿ったのかさっぱりわからないけれど。これは人々にもっとも疎遠感を感じさせるものの一つである。自分のファンタジーすら自分自身のものではないように思われるからだ。

ブルース・フィンク「ラカン的主体」から

Monday, July 8, 2019

COLLECTION OF ENGLISH IDIOMS

早稲田大學敎授 深澤裕次郎著
應用英文解釋法
東京英文週報社發行

(p. 44-45)

範例
She is a nice-looking girl, with light hair and blue eyes, and all that.
彼女は髪は薄色で眼は碧かつたりして美しい娘だ。

解説
And all that
    = And all the rest of it
    = And all of that sort
  = Et cetera
    = And so forth
    = And so on
    その邊のところ
  そんなもの
  等。など

用例
1.  The girl likes him pretty well, and her people approve of him, and all that, you know.
    A. Trollope
    女も可なり其男を氣に入つてるの、内の者もさう云つた譯なの。
2.  "Of course, I like her very much, and all that." he went on, "but I don't love her, not a little bit."
    Askew
    男は續けて云つた「勿論僕はあの女を非常に好いたりして居るが、愛しては居ません、少しも愛しては居ません」。
3.  Introduce you! I thought you had been travelling together, and staying at the same hotel, and all that.
    A. Trollope
    御紹介!あなた方は御一緒においでになつて、同じ宿屋にお泊りなすつたものと思ひましたが、それでも御紹介いたすのですか。
4.  "Jolly place, a conservatory!" he said -- "fountains plashing, Chinese lanterns burning......flowers smelling -- and -- all that! -- no place like it when you want to talk, is there?"
    H. Bell
    「いゝですよ、温室は。噴水はざあざあ音がして提燈はついてるし、花からはいゝ匂がする、お話をしようつて時には此位いゝ場所は有りませんよ、どうです」。

Saturday, July 6, 2019

「わが名はジョナサン・スクリブナー」

クロード・ホートンの問題作を訳してアマゾンから出版した。最近は校正やら epub ファイルを作るためのいろいろな作業で大忙しだった。頭がぼうっとしている。ちなみにわたしは epub ファイルを手打ちで作っている。

この作品はレクサムという男によって語られる。彼はつまらない事務の仕事を何年もつづけ、孤独な生活を送ってきた。ところがあるとき、スクリブナーという資産家の紳士が秘書を求めているのを知り、応募する。これが彼の奇妙な冒険のはじまりだった。


面接に行くとスクリブナーの弁護士から、さっそく仕事にとりかかってくれと言われる。給料もおそろしくいい。しかしなにより驚いたのはつぎの二つ。スクリブナーはとっくに外国に出かけていて家にいない。つまりレクサムの人となりを見ずに、彼を秘書に雇ったわけだ。さらにレクサムには留守中の彼の家に住み込み、まるでそこの主人のように使用人たちに指示を出してもらいたいというのだ。

なんとなく「赤毛連盟」を思い起こさせる出だしだ。スクリブナーは、条件のいい仕事でなにもしらない人間をおびき寄せ、犯罪に利用しているのではないか。レクサムはそう疑う。いったいスクリブナーはいかなる人物なのか。なにをもくろんでいるのか。

ホートンらしいミステリ・タッチの物語だ。

しかしこの物語には仕掛けがほどこされている。驚くべき仕掛けだ。そのことは後書きに書いておいた。それを読めば、本書の印象が一変するだろう。わたしの解釈は、まだ世界中の誰も気づいていないもので、大いに自慢である。

→ アマゾンへ

Wednesday, July 3, 2019

ビタミンDの必要性

これは曇りがちで日照時間の短いイギリスの話だけれど、スティーブ・ジョーンズという遺伝子の研究者が人々にビタミンDをサプリで摂取するように呼びかけている。(ガーディアン紙の「Top UK scientist urges people to take vitamin D supplements」という記事だ)

彼は以前はビタミンをサプリでとるなど馬鹿馬鹿しいと考えていた。ところが子供たちの野外で遊ぶ時間が昔と較べて一時間減ったせいで、太陽光に当たることで体内に生成されるビタミンDが不足するようになり、骨軟化症が急激に増え、警告を発せざるをえなくなったというのである。

野外で遊ぶ時間が少なくなったことが原因というなら、日本の子供にだっておなじことが起きているのではないか。日本はイギリスよりも陽射しが強いし、イギリスほど曇ってじめじめはしていないが、しかしそれでもビタミンD不足に関連した病気が微増する傾向にありはしないか、ちょっと心配である。

太陽に当たりすぎると癌になることもあるが、適度な日光浴は血圧を下げる効果もあるらしい。

筋トレをやっているとこうした情報には敏感になる。

Monday, July 1, 2019

後書きの問題

クロード・ホートンの「わが名はジョナサン・スクリブナー」をずっと訳してきたが、ようやく作業も終わりに近づき、後書になにを書こうかと今は迷っている。できたら作品に新しい視点を与えたい、世界でだれもしゃべっていないような論点を付加したいと思っている。もちろん、わたしは研究書を手に入れるのにも苦労しているので、それはなかなか難しいのだけれど。けれども以前訳した「オードリー夫人の秘密」や「悪魔の悲しみ」では作品への新しい取り掛かりが示せたのではないかと思っている。

「ジョナサン・スクリブナー」にも面白い問題点はあるのだ。これはある驚くべき存在についての物語であると言っていい。シェイクスピアはその登場人物の多様性のゆえに myriad-minded Shakespeare (「万人の心を持つ」)などと呼ばれたが、ジョナサン・スクリブナーもあらゆる人間の心を持ち、どのような人に出会っても、その人に呼応した側面を差し出すことができる。

それどころか彼は相手の心を読み、相手がなにをするか、予想することもできる。彼とかかわりのある人は、みな、自分の心中を読み取られているような不気味な印象を持つ。

さらにスクリブナーはとてつもない才能の持ち主で、あらゆる分野において超一流を極めることができた。画家にも、役者にも、小説家にもなれたし、金儲けだって誰を相手にしても負けない。この世の可能性の極限をきわめることができる男なのだ。

彼は可能性を極めるだけではない。可能性を極めた末に、それらが虚しい、無意味だということを知り、手にする権利があるすべての栄光を捨ててしまうのである。

では、栄光を捨てて彼はどこに行くのか。彼はこの世の可能性の外、いまだ知られざる荒野へと向かおうとしている。

そんなとてつもない人間が存在するのだろうか。なぜ作者はそんな人間を考えたのだろうか。

わたしはふと気が付いた。いや、そういう人間はいる。端的にいるではないか。それは作者だ。

小説論を勉強すれば omniscient author という言葉を習うだろう。何でも知っている、神のような書き手、という意味である。登場人物すべての人の心の中を探ることができ、世界中のあらゆる場所で起きている事件を知っていて、読者に語ることのできる作者だ。

この全知の作者と、彼が描く登場人物のあいだには画然たる差がある。全知の作者はメタレベルにあるとすれば、登場人物はもちろんオブジェクト・レベルにあるわけだ。彼らがまじりあうことはありえない。

しかしまじりあったとしたらどうだろう。神のような作者が作品中に舞い降りてきたとしたら。彼はまさしくスクリブナーのような存在になるのではないか。

「ジョナサン・スクリブナー」の登場人物たちは、自分たちがスクリブナーによって操られている、あるいは、心の底まで読み取られていると感じるが、当然である。スクリブナーは彼らの創造主であり、彼らを操って物語を書いているのだから。

この小説の語り手はレクサムという男なのだが、レクサムもスクリブナーによって生み出され、操られる登場人物の一人にすぎない。レクサムは自分がこの物語を書いていると思っているが、じつはスクリブナーによって書かされているのではないか。本当に書いているのはスクリブナーなのではないか。スクリブナー(Scrivener)とは「書く人」の謂いである。

そう考えるとこの小説は複雑な、入り組んだ構造を持っていることになる。書く人が書かれ、書かれる人が書くという、まるでエッシャーの絵のようなパラドキシカルな構造になっているのだ。

このことはわたしが知る限り、まだどんな批評家によっても語られていない「ジョナサン・スクリブナー」の特質である。これについて書こうかなあ、と思ってはいるのだが、まだ考えがまとまらないところもあり、ま、わからない。

英語読解のヒント(145)

145. 付帯状況の with 基本表現と解説 He was sitting, book in hand, at an open window. 「彼は本を手にして開いた窓際に座っていた」 book in hand は with a book in his hand の...